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単一遺伝子異常による糖尿病の成因、診断、治療に関する調査研究(第2次委員会)

単一遺伝子異常による糖尿病の成因、診断、治療に関する調査研究(第2次委員会)

基本情報

◆学術調査研究テーマ:
単一遺伝子異常による糖尿病の成因、診断、治療に関する調査研究(第2次委員会)
◆調査研究予定期間:
2022年度 - 2025年度
◆研究代表者名:
稲垣 暢也 (公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院 理事長)

概要

糖尿病の主なタイプは1型糖尿病と2型糖尿病で、どちらも多数の遺伝子が発症に関わっていることが知られています。一方、若い年齢で肥満を伴わずに糖尿病を発症し、1型糖尿病でない場合、一つの遺伝子の異常が糖尿病の原因となっていることがあります。これは「単一遺伝子異常による糖尿病」と呼ばれ、原因となる遺伝子が40以上知られています。そして、原因遺伝子がわかった場合、最適な治療法を選べる場合があります。しかし、単一遺伝子異常による糖尿病が疑われる場合であっても、原因となる遺伝子の解析が行われないことが依然多いのが現状です。
この研究では、単一遺伝子異常による糖尿病が疑われる人の血液から得たDNAを使って、遺伝子解析を行います。既に知られている遺伝子の異常があれば、一人ひとりに最適な治療方法の選択につながります。異常が見つからなかった場合は、より詳しい解析を行い、まだ知られていない原因遺伝子を探します。そしてこの結果をもとに、単一遺伝子異常による糖尿病の診断・治療に関する診療指針を作成します。
単一遺伝子異常による糖尿病の成因、診断、治療に関する調査研究(第2次委員会)

研究成果

単一遺伝子糖尿病には、若年発症成人型糖尿病(MODY)、新生児糖尿病、ウォルフラム症候群などが含まれ、原因遺伝子により治療方針や予後が大きく異なるため、早期診断が重要です。一方で、日本では標準的なスクリーニング基準や遺伝学的解析を提供する体制の整備が課題となっており、未診断例が少なくないと考えられています。本委員会は、日本人を対象とした診断・治療ガイドラインの作成、遺伝学的解析支援体制の整備、未知の原因遺伝子の解明を目的に活動してきました(図1)。2019年から2024年にかけて、35歳未満で糖尿病と診断され、肥満歴がなく膵島関連自己抗体陰性の患者およびその血縁者を対象とし、232名を解析しました。その結果、67名(28.9%)に病的または病的可能性の高いバリアントが同定され、このうち95.5%(64名)ではGCK、HNF1A、HNF4A、HNF1B、ABCC8 といった治療方針や予後に直結する遺伝子の変化を認めました(図2)。さらに、陽性例の臨床像は多様で、単一の臨床指標や従来のMODYスクリーニング基準、MODY Probability Calculatorのみでは十分に識別できず、見逃しが生じうることが示唆されました。これらの成果は、米国内分泌学会誌 The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(2025年8月25日付)に発表し、日本糖尿病学会誌にも委員会報告として掲載予定です。上記成果を報告後も継続的に解析を進めており、2025年度末時点で合計404例の解析を実施しました。
◆論文・学会発表等:
  • Satoshi Yoshiji*, Masashi Hasebe*, Daisuke Tanaka*, Masakazu Shimizu*, Yuki Soma, Takahisa Kawaguchi, Izumi Yamaguchi, Akihiro Hamasaki, Katsuya Tanabe, Yukio Tanizawa, Hiroto Furuta, Yukio Horikawa, Jun Mori, Toshimasa Yamauchi, Tohru Yorifuji, Naoko Iwasaki, Daisuke Yabe, Fumihiko Matsuda, Nobuya Inagaki#.
    *共同筆頭著者(co-first author), #責任著者(corresponding author)
    “Genetic and Clinical Characteristics of Monogenic Diabetes in Japan: A Nationwide Study by the Japan Diabetes Society.”
    The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism,
    https://doi.org/10.1210/clinem/dgaf478
  • 単一遺伝子異常による糖尿病の成因, 診断, 治療に関する調査研究委員会
    長谷部雅士†§, 吉治智志*†§,田中大祐*†§, 清水正和§, 今泉俊則†, 相馬佑紀†, 川口喬久, 山口泉, 濵崎暁洋*, 田部勝也*, 谷澤幸生*,古田浩人*, 堀川幸男*, 森潤*, 山内敏正*, 依藤亨*, 岩﨑直子*, 矢部大介*, 松田文彦, 稲垣暢也#
    #委員長(責任著者), *委員, †中央事務局(研究運営・解析実務), §共同筆頭著者(等寄与)
    “単一遺伝子異常による糖尿病の成因, 診断, 治療に関する委員会報告”
    糖尿病, in press.
単一遺伝子異常による糖尿病の成因、診断、治療に関する調査研究(第2次委員会)
単一遺伝子異常による糖尿病の成因、診断、治療に関する調査研究(第2次委員会)

PRESS RELEASE

更新:2026年4月6日NEW