日本医学会連合TEAM事業『薬剤の適正使用と「健康」に対する理解促進のための啓発活動』
日本医学会連合TEAM事業『薬剤の適正使用と「健康」に対する理解促進のための啓発活動』
基本情報
◆事業名:
『薬剤の適正使用と「健康」に対する理解促進のための啓発活動』
※ 一般社団法人日本医学会連合「領域横断的連携活動事業(TEAM事業)」 の一環として活動
※ 一般社団法人日本医学会連合「領域横断的連携活動事業(TEAM事業)」 の一環として活動
◆実施期間:
2024年4月1日-2026年3月31日
◆代表者/主担当:
日本糖尿病学会 理事長 植木 浩二郎/
日本糖尿病学会 事務局長 鈴木 亮
日本糖尿病学会 事務局長 鈴木 亮
◆参加学会:
- 基礎部会
日本栄養・食糧学会、日本生理学会、日本薬理学会 - 社会部会
日本健康学会、日本公衆衛生学会、日本疫学会 - 臨床内科部会
日本糖尿病学会、日本内科学会、日本肥満学会、日本内分泌学会、日本病態栄養学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本女性医学学会、日本心身医学会 - 臨床外科部会
日本皮膚科学会、日本栄養治療学会
概要
近年、糖尿病薬のダイエット目的での利用や市販薬の過剰服薬が深刻な社会問題となっています。日本糖尿病学会を含む17学会はこの実態を多角的なアプローチで調査・解明し、正しい健康理解を広める活動を行いました。

<調査研究Ⅰ>医師向けアンケート
約75%が「適応外使用は避けるべき」と答えつつも、実際には半数以上の医師が適応外使用を経験していました。これは、ほとんどの医師が「不適切な使用は良くない」と理解していても、患者さんの要望や特定のケースなどで適応外処方せざるを得ない臨床現場での葛藤があることがうかがえます。
<調査研究Ⅱ>GLP-1受容体作動薬のレセプトデータ解析
大学病院等と比較して診療所では40〜50代の標準体型の女性に対してGLP-1受容体作動薬が処方されているケースが目立ちました。背景として、医療機関の役割によって処方の選択に違いがあることが考えられます。
この2つの調査研究結果をふまえ、本事業の集大成として開催したシンポジウムでは、参加学会のうち10学会を代表する専門家が集結し、エビデンスに基づいた領域横断的な議論を深めました。
<シンポジウムの開催>
シンポジウムでは、参加学会を代表して2名の先生方より基調講演をご講演いただきました。
河合啓介先生(日本心身医学会)は、『市販薬ODの病理と治療戦略 — 孤立する若者たちの「痛み」と向き合う —』のテーマのもと、若年層に広がる市販薬の過量摂取は、快楽追求ではなく孤立した若者が苦痛を回避するための「生存戦略」であるという視点を紹介し、単なる「断薬」ではなく、社会的な孤立を解消し「生きる意味」を回復させる支援が必要と述べました。
小川渉先生(日本肥満学会・日本内科学会)は、『GLP-1 関連薬剤の安全・適正使用をめぐる課題』と題して、保険診療における厳格な処方制限が自由診療への流入を助長している側面を指摘し、自由診療に対してもアカデミアが明確なメッセージを発出する必要性を強調しました。
河合啓介先生(日本心身医学会)は、『市販薬ODの病理と治療戦略 — 孤立する若者たちの「痛み」と向き合う —』のテーマのもと、若年層に広がる市販薬の過量摂取は、快楽追求ではなく孤立した若者が苦痛を回避するための「生存戦略」であるという視点を紹介し、単なる「断薬」ではなく、社会的な孤立を解消し「生きる意味」を回復させる支援が必要と述べました。
小川渉先生(日本肥満学会・日本内科学会)は、『GLP-1 関連薬剤の安全・適正使用をめぐる課題』と題して、保険診療における厳格な処方制限が自由診療への流入を助長している側面を指摘し、自由診療に対してもアカデミアが明確なメッセージを発出する必要性を強調しました。
では、なぜ薬剤の不適切使用が起きるのでしょうか?
議論の結果、若者の孤立/行き過ぎたやせ志向/薬への理解と教育不足の3つの課題が浮かび上がりました。
議論の結果、若者の孤立/行き過ぎたやせ志向/薬への理解と教育不足の3つの課題が浮かび上がりました。

薬剤の不適切使用は個人の倫理の問題ではありません。これらの社会的課題を捉え直す必要があります。シンポジウムでは、各領域が連携して取り組むべき具体的なアクションプランを共有しました。
薬理教育の推進
薬を服用することは「体内の働きを人工的に変化させる行為」であることのリスクと正しい付き合い方について、若年期から学ぶ機会を創出すること
デジタル社会に適応した多層的啓発
SNSやYouTubeなどのデジタル媒体や身近な著名人を活用することで、正しい医療情報を若年層へダイレクトに届けること
次世代リスクの予防
不適切な減量が本人の骨量低下だけでなく、次世代の健康リスク(低出生体重児など)を招く影響があることや未来の家族を見据えた健康管理(プレコンセプションケア)の観点を取り入れた意識改革を促すこと
判定基準の多面化
これまでの「BMI(肥満度を示す数値)」だけに頼った一面的な判定基準ではなく、本当に治療が必要な健康障害があるかを総合的に判断する新しい基準やガイドラインを策定すること
本事業を通して得たこれらの知見は、今後の日本の医療政策や啓発活動において極めて重要な基盤となります。また、日本糖尿病学会は、本事業で実施した2つの調査研究の結果を学術論文化し、科学的エビデンスに基づいた制度設計やガイドライン改訂の提言に繋げることを通して、薬剤の適正使用が国民の真の「健康」に寄与する社会の実現を目指していきます。
シンポジウムの様子
シンポジウム 基調講演
『市販薬ODの病理と治療戦略 — 孤立する若者たちの「痛み」と向き合う —』
演者:河合 啓介先生(日本心身医学会)
『GLP-1 関連薬剤の安全・適正使用をめぐる課題』
演者:小川 渉先生(日本肥満学会・日本内科学会)
更新:2026年9月3日NEW




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