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単一遺伝子糖尿病:アンケート報告

単一遺伝子糖尿病:アンケート報告

一般社団法人 日本糖尿病学会
単一遺伝子糖尿病の成因、診断、治療に関する調査研究委員会
(本内容は2025年5月の日本糖尿病学会 学術評議員会にて発表されたもので、当時の調査研究委員会の名称に基づき対象疾患を「単一遺伝子異常による糖尿病」と呼称しております)

1. 調査概要

本アンケートは、単一遺伝子異常による糖尿病の診療経験および、遺伝子解析の実施実態を把握することを目的として、日本糖尿病学会会員である医師を対象として2024年10月16日から同年12月15日にかけて実施された。
有効回答数は829件であった。

2. 回答者の基本情報

2.1 専門医の取得状況
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医は640名で
  • 取得後5年未満:103名
  • 取得後5年以上10年未満:123名
  • 取得後10年以上15年未満:141名
  • 取得後15年以上:273名
であった。内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医は51名、両資格とも未取得であったのは138名であった。
2.2 性別
以下の通りであった。
  • 男性:556名
  • 女性:266名
  • 無回答:7名
2.3 診療地域
診療地域として最も多かったのは関東甲信越(252名)であり、次いで近畿(197名)、九州(112名)、中部(109名)、中国・四国(85名)、東北(43名)、北海道(30名)であった。

3. 単一遺伝子異常糖尿病による糖尿病の診療経験

3.1 経験の有無・経験症例数 [図1]
「単一遺伝子異常による糖尿病の疑いのある症例」を経験したと回答した医師は555名(有効回答の67.0%)であり、経験症例数に関しては以下の通りであった。
  • 1例:100名
  • 2~3例:238名
  • 4~5例:120名
  • 6~10例:51名
  • 11例以上:47名
図1:「単一遺伝子異常による糖尿病疑いのある症例」の診療経験
[図1:「単一遺伝子異常による糖尿病疑いのある症例」の診療経験]
3.2 経験した症例の種類
以下の通りであった。複数回答は可としている。
  • MODY(Maturity onset diabetes of the young):441名
  • MIDD(Maternally inherited diabetes and deafness):156名
  • その他:88名
    (新生児糖尿病、インスリン受容体異常症、Wolfram症候群、脂肪萎縮症をはじめとする疾患が回答して挙げられていた)
  • 診断名は不明:89名

4. 遺伝子解析と遺伝カウンセリングの実施状況

4.1 遺伝子解析の実施状況 [図2]
症例を経験した555名のうち、357名(64.2%)が遺伝子解析を依頼・実施したと回答した。
図2:遺伝子解析の実施状況
[図2:遺伝子解析の実施状況]
4.2 遺伝子解析の依頼先[図3]
以下の通りであった。複数回答は可としている。
  • 単一遺伝子異常による糖尿病の成因、診断、治療に関する調査研究委員会: 113名
  • 大学等: 236名
  • かずさDNA研究所: 80名
図3:遺伝子解析の依頼先
[図3:遺伝子解析の依頼先]
( *: 単一遺伝子異常による糖尿病の成因、診断、治療に関する調査研究委員会)
4.3 遺伝カウンセリングの実施状況
遺伝子解析を実施した357名のうち、168名(47.1%)が遺伝カウンセリングを実施していた。カウンセリング担当者は以下の通りであった。複数回答は可とした。
  • 臨床遺伝専門医または認定遺伝カウンセラー: 99名
  • 回答者本人: 99名
  • 上記以外の医師: 14名

5. 治療切り替えの経験

MODYタイプに基づき治療内容の切り替えを行ったのは、設問への回答者345名中194名(56.2%)であった。

6. 遺伝子解析を実施しなかった理由[図4]

遺伝子解析を実施しなかったと回答した198名から挙げられた理由は以下の通りであった。複数回答は可とした。
  • 患者本人が希望しなかった: 126名
  • 進め方がわからなかった: 81名
  • 依頼先が不明だった: 63名
  • 費用が高額であった: 55名
  • 遺伝子解析に意義を感じなかった: 14名
[図4] 遺伝子解析を実施しなかった理由
[[図4] 遺伝子解析を実施しなかった理由]

7. まとめと考察

本調査の結果、調査に協力いただいた日本糖尿病学会会員である医師のうち67.0%が単一遺伝子異常による糖尿病を疑う症例を経験している一方、疑い例を経験した医師のうち実際に遺伝子解析を行った経験を有する医師は64.2%にとどまっていたことが明らかとなった。遺伝子解析の障壁として、会員である医師から、依頼先や方法が周知されていないこと、および費用面の課題が挙げられている。日本糖尿病学会において解析支援体制が継続すること、そして支援体制がより広く周知されることで、単一遺伝子異常による糖尿病の診断が促進され、患者への個別化医療提供につながることが期待される。

更新:2026年4月2日