The Japan Diabetes Society

JapaneseEnglish
一般の方へ

レジストリ作成を通じた糖尿病をきたす希少疾患の治療標準化

レジストリ作成を通じた糖尿病をきたす希少疾患の治療標準化

基本情報

◆学術調査研究テーマ:
レジストリ作成を通じた糖尿病をきたす希少疾患の治療標準化
◆調査研究予定期間:
2022年度 - 2025年度
◆研究代表者名:
小川 渉 (神戸大学大学院医学研究科 橋渡し科学分野 代謝疾患部門特命教授)

概要

糖尿病は治療の進歩により、多くの糖尿病のある方々の健康状態や将来の見通し(予後)は改善してきました。しかし、原因が遺伝や免疫の異常にある一部の糖尿病については、いまだに有効な治療方法が確立されていないのが現状です。
たとえば、遺伝子の異常によってインスリンが効きにくくなる「遺伝的インスリン抵抗症」、免疫の異常が原因でインスリンの働きが妨げられる「B型インスリン抵抗症」、脂肪組織が減少または消失する「脂肪萎縮症」、さらには視力や聴力の低下を伴う「Wolfram症候群」などがその代表です。
これらの糖尿病を引き起こす希少疾患についての理解を深めるため、「糖尿病をきたす希少疾患のレジストリ研究(Japan REGistry for rARe Diseases associated with Diabetes Mellitus: J-REGARD-DM)」という新たな研究が始まっています。この研究では、これらの病気のある方々の医療情報を、全国から集める電子的な仕組み(レジストリ)を作り、活用することで、病気の特徴や治療の実態を明らかにすることを目指しています。集めた情報をもとに、より効果的な治療法の開発につなげ、これらの病気のある人々の生活の質や将来の見通し(予後)を少しでも良くすることが、この研究の大きな目的です。

事業HP:
糖尿病をきたす希少疾患のレジストリ研究
(J-REGARD-DM)

レジストリ作成を通じた糖尿病をきたす希少疾患の治療標準化

研究成果

「糖尿病をきたす希少疾患のレジストリ研究(J-REGARD-DM)」は、2023年2月に多施設共同研究として開始し、電子レジストリシステム「REDCap」を用いてインターネット上で安全に情報を収集できる体制を構築しました。日本糖尿病学会認定教育施設や日本小児内分泌学会の評議員といった糖尿病の専門的な診療をされている先生方に広くお知らせし、全国の医療機関に参加を呼びかけました。その結果、全国から合計23施設が研究に参加し、遺伝的インスリン抵抗症13例、B型インスリン抵抗症5例、脂肪萎縮症5例、Wolfram症候群3例について、診療情報を収集しました。
集めた情報をもとに、病気ごとに糖尿病の起こりやすさがどのくらい違うのか、特徴的とされる症状が実際にはどの程度みられるのか、日本ではどのような治療が行われているのか、どのような病状や経過の方が多いのかといった「診療の実態」を整理して把握することができました。このことにより、各疾患の共通点と違いが見えやすくなり、診断や治療の判断に役立つ情報を積み上げることができました。
これらの結果は、まだ分からないことが多い希少疾患に伴う糖尿病の診療を考えるうえで重要な手がかりになります。今後は、さらに参加施設と登録数を増やし、経過を継続して追うことで、より確かな治療方針の検討につなげていき、よりよい治療法や診療の進め方を確立するための基盤として、大切な役割を果たすと考えています。
◆論文:
  1. Nishikage S, Hirota Y, Takayoshi T, Yoshimura K, Takeuchi T, Hamaguchi T, Ueda M, Yamamoto A, Sakaguchi K, Ogawa W. Utility of the C-peptide/insulin molar ratio for distinguishing type A insulin resistance syndrome from type 2 diabetes. J Clin Endocrinol Metab. 2025;110(10):e3383-e3390.
  2. Yoshimura K, Hirota Y, Hamaguchi T, Takeuchi T, Takayoshi T, Saito S, Ueda M, Nishikage S, Yamamoto A, Hashimoto N, Ogawa W. Management of pregnancy with metformin: Case reports for genetic insulin resistance syndrome and a literature review for gestational and type 2 diabetes. J Diabetes Investig. 2025;16(9):1663-1669.
  3. Hirota Y, Kakei Y, Imai J, Katagiri H, Ebihara K, Wada J, Suzuki J, Urakami T, Omori T, Ogawa W. A multicenter, open-label, single-arm trial of the long-term safety of empagliflozin treatment for refractory diabetes mellitus with insulin resistance (EMPIRE-02). J Diabetes Investig. 2024;15(9):1211-1219.
  4. Hirota Y, Kakei Y, Imai J, Katagiri H, Ebihara K, Wada J, Suzuki J, Urakami T, Omori T, Ogawa W. A multicenter, open-label, single-arm trial of the efficacy and safety of empagliflozin treatment for refractory diabetes mellitus with insulin resistance (EMPIRE-01). Diabetes Ther. 2024;15(2):533-545.
◆学会発表:
  1. 芳村 魁、廣田 勇士、中辻 萌、齋藤 修一郎、西影 星二、山本 あかね、高吉 倫史、小川 渉. 糖尿病をきたす希少疾患のレジストリ研究(J-REGARD-DM). 第30回 日本小児・思春期糖尿病学会年次学術集会 2025年7月、東京
  2. 廣田 勇士、芳村 魁、齋藤 修一郎、西影 星二、山本 あかね、高吉 倫史、海老原 健、石垣 泰、片桐 秀樹、田部 勝也、谷澤 幸生、大薗 恵一、小川 渉. 糖尿病をきたす希少疾患のレジストリ研究(J-REGARD-DM)の現況. 第68回糖尿病学会年次学術集会 2025年5月、岡山
  3. 芳村 魁、廣田 勇士、齋藤 修一郎、西影 星二、上田 真莉子、山本 あかね、髙吉 倫史、海老原 健、石垣 泰、片桐 秀樹、田部 勝也、谷澤 幸生、大薗 恵一、小川 渉. 糖尿病をきたす希少疾患のレジストリ研究(J-REGARD-DM). 第67回糖尿病学会年次学術集会 2024年5月、東京
レジストリ作成を通じた糖尿病をきたす希少疾患の治療標準化

更新:2026年2月2日