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学術調査・研究

日本人1型糖尿病の成因、診断、病態、治療に関する調査研究委員会―劇症および急性発症1型糖尿病分科会

last update 2014.6.10

日本糖尿病学会日本人1型糖尿病の成因、診断、病態、治療に関する調査研究委員会―劇症および急性発症1型糖尿病分科会

急性発症1型糖尿病診断基準(2012)を策定しました(詳しくはこちら
劇症1型糖尿病診断基準を一部改訂しました。(詳しくはこちら
劇症1型糖尿病の新規症例を募集しています。(詳しくはこちら
全ゲノム関連解析用の検体を募集しています。(詳しくはこちら

急性発症1型糖尿病診断基準(2012)
劇症1型糖尿病スクリーニング基準(2004)
劇症1型糖尿病診断基準(2012)
劇症1型糖尿病かなと思ったら
参考文献
活動内容
問合せ先
送付先(症例登録票)
劇症1型糖尿病 症例調査票
劇症1型糖尿病の名称
参考:劇症1型糖尿病診断基準(2004)

急性発症1型糖尿病診断基準(2012)

  1. 口渇、多飲、多尿、体重減少などの糖尿病(高血糖)症状の出現後、おおむね3か月以内にケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る1)
  2. 糖尿病の診断早期より継続してインスリン治療を必要とする2)
  3. 膵島関連自己抗体が陽性である3)
  4. 膵島関連自己抗体が証明できないが、内因性インスリン分泌が欠乏している4)
判定:
上記1~3を満たす場合、「急性発症1型糖尿病(自己免疫性)」と診断する。1、2、4を満たす場合、「急性発症1型糖尿病」と診断してよい。
内因性インスリン分泌の欠乏が証明されない場合、あるいは膵島関連自己抗体が不明の場合には、診断保留とし、期間をおいて再評価する。
【参考事項】
  1.  尿ケトン体陽性、血中ケトン体上昇のいずれかを認める場合、ケトーシスと診断する。また、臨床的判断により直ちにインスリン治療を開始した結果、ケトーシスやケトアシドーシスに陥らない例がある。
  2.  1型糖尿病の診断当初にインスリン治療を必要とした後、数ヶ月間インスリン治療なしで血糖コントロールが可能な時期(honeymoon period)が一過性に存在しても、再度インスリン治療が必要な状態となりそれが持続する場合も含める。
  3.  グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体、IA-2抗体、インスリン自己抗体(IAA)、亜鉛輸送担体8(ZnT8)抗体、膵島細胞抗体(ICA)のうちいずれかの自己抗体の陽性が経過中に確認された場合、膵島関連自己抗体陽性と判定する。ただし、IAAはインスリン治療開始前に測定した場合に限る。
  4.  空腹時血清Cペプチド<0.6 ng/mlを、内因性インスリン分泌欠乏の基準とする。ただし、劇症1型糖尿病の診断基準を満たす場合は、それに従う。また、HNF-1α遺伝子異常、ミトコンドリア遺伝子異常、KCNJ11遺伝子異常などの単一遺伝子異常を鑑別する。

詳細は、糖尿病 2013;56(8):584-589 を参照して下さい。

劇症1型糖尿病スクリーニング基準(2004)

(下記の基準を満たす場合は入院の上精査が必要)

  • 糖尿病症状発現後1週間前後以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る。
  • 初診時の(随時)血糖値が288mg/dl(16.0mmol/l)以上である。

劇症1型糖尿病診断基準(2012)

下記1~3のすべての項目を満たすものを劇症1型糖尿病と診断する。

  1. 糖尿病症状発現後1週間前後以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る(初診時尿ケトン体陽性、血中ケトン体上昇のいずれかを認める。)
  2. 初診時の(随時)血糖値が288 mg/dl (16.0 mmol/l) 以上であり、かつHbA1c値 (NGSP)<8.7 %*である。
  3. 発症時の尿中Cペプチド<10 µg/day、または、空腹時血清Cペプチド<0.3 ng/ml かつ グルカゴン負荷後(または食後2時間)血清Cペプチド<0.5 ng/ml である。

*:劇症1型糖尿病発症前に耐糖能異常が存在した場合は、必ずしもこの数字は該当しない。

<参考所見>

A) 原則としてGAD抗体などの膵島関連自己抗体は陰性である。

B) ケトーシスと診断されるまで原則として1週間以内であるが、1~2週間 の症例も存在する。

C) 約98%の症例で発症時に何らかの血中膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパー ゼ、エラスターゼ1など)が上昇している。

D) 約70%の症例で前駆症状として上気道炎症状(発熱、咽頭痛など)、消化器症状(上腹部痛、悪心・嘔吐など)を認める。

E) 妊娠に関連して発症することがある。

F) HLA DRB1*04:05-DQB1*04:01との関連が明らかにされている。

注)診断基準の第2項目と参考所見Fが変更(追加)になっています。詳しくは、糖尿病55:815-820, 2012をご参照下さい。

劇症1型糖尿病かなと思ったら

委員会では劇症1型糖尿病の診断、治療に対する御相談を常時承っております。

問合せ先: 大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科 今川彰久
 E-mail: aimagawa@endmet.med.osaka-u.ac.jp
 TEL: 06-6879-3732

参考文献

委員会報告

  • 今川彰久、花房俊昭、粟田卓也、池上博司、内潟安子、大澤春彦、川崎英二、川畑由美子、小林哲郎、島田朗、清水一紀、高橋和眞、永田正男、牧野英一、丸山太郎 (2012)1型糖尿病調査研究委員会報告 —劇症1型糖尿病の新しい診断基準(2012) 糖尿病55:815-820
  • 平田匠、島田朗、今川彰久、粟田卓也、池上博司、内潟安子、大澤春彦、川崎英二、川畑由美子、小林哲郎、清水一紀、高橋和眞、永田正男、牧野英一、丸山太郎、花房俊昭(2012)1型糖尿病調査研究委員会(劇症および急性発症1型糖尿病分科会)報告 -2型糖尿病経過中に劇症1型糖尿病様の発症様式を呈した症例の臨床的特性- 糖尿病55:505-511
  • 花房俊昭、今川彰久、岩橋博見、内潟安子、金塚東、川崎英二、小林哲郎、島田朗、清水一紀、丸山太郎、牧野英一 劇症1型糖尿病調査研究委員会報告(追補)―発症時のウイルス抗体価について 糖尿病51(6):531-536, 2008
  • 花房俊昭、今川彰久、岩橋博見、内潟安子、金塚東、川崎英二、小林哲郎、島田朗、清水一紀、丸山太郎、牧野英一、村瀬裕子、池上博司 劇症1型糖尿病調査研究委員会報告―HLAおよび細小血管合併症について 糖尿病50:825-833, 2007.
  • 清水一紀、牧野英一、今川彰久、内潟安子、川崎英二、金塚 東、小林哲郎、島田 朗、丸山太郎、花房俊昭 妊娠関連発症劇症1型糖尿病の臨床的特徴とHLA解析―劇症1型糖尿病調査委員会報告― 糖尿病49:755-760, 2007.
  • 川崎英二、清水一紀、花房俊昭、今川彰久、岩橋博見、内潟安子、金塚 東、小林哲郎、島田 朗、丸山太郎、牧野英一 妊娠関連発症1型糖尿病に関する全国調査 糖尿病と妊娠6(1): 104-107, 2006
  • 花房俊昭、今川彰久、岩橋博見、内潟安子、金塚 東、川崎英二、小林哲郎、島田 朗、清水一紀、丸山太郎、牧野英一 劇症1型糖尿病調査研究委員会報告―疫学調査の解析と診断基準の策定― 糖尿病48(suppl1):A1-A13, 2005
  • 清水一紀、牧野英一、花房俊昭、今川彰久、内潟安子、川崎英二、金塚 東、小林哲郎、島田 朗、丸山太郎 妊娠関連発症劇症1型糖尿病のクラスII HLAの検討―劇症1型糖尿病調査委員会報告― 糖尿病48(suppl1):A15-A19, 2005
  • Tsutsumi C, Imagawa A, Ikegami H, Makino H, Kobayashi T, Hanafusa T; on behalf of the Japan Diabetes Society Committee on Type 1 Diabetes Mellitus Research. (2012) Class II HLA genotype in fulminant type 1 diabetes: A nationwide survey with reference to glutamic acid decarboxylase antibodies. J Diabetes Invest. 3:62-69
  • Nakamura K, Kawasaki E, Imagawa A, Awata T, Ikegami H, Uchigata Y, Kobayashi T, Shimada A, Nakanishi K, Makino H, Maruyama T, Hanafusa T; the Research Committee on Type 1 Diabetes of the Japan Diabetes Society. Type 1 Diabetes and Interferon Therapy: A nationwide survey in Japan. Diabetes Care. 2011 Sep;34(9):2084-2089.
  • Koga M, Murai J, Saito H, Kasayama S, Imagawa A, Hanafusa T, Kobayashi T; Japan Diabetes Society's Committee on Research on Type 1 Diabetes. Serum glycated albumin to haemoglobin A(1C) ratio can distinguish fulminant type 1 diabetes mellitus from type 2 diabetes mellitus. Ann Clin Biochem. 2010 Jul;47(Pt 4):313-7.
  • Kawabata Y, Ikegami H, Awata T, Imagawa A, Maruyama T, Kawasaki E, Tanaka S, Shimada A, Osawa H, Kobayashi T, Hanafusa T, Tokunaga K, Makino H; on behalf of the Committee on Type 1 Diabetes, Japan Diabetes Society. Differential association of HLA with three subtypes of type 1 diabetes: fulminant, slowly progressive and acute-onset. Diabetologia. 2009 Dec;52(12):2513-21.
  • Takaike H, Uchigata Y, Iwamoto Y, Imagawa A, Iwahashi H, Kanatsuka A, Kawasaki E, Kobayashi T, Shimada A, Shimizu I, Hanafusa T, Maruyama T, Makino H. Nationwide survey to compare the prevalence of transient elevation of liver transaminase during treatment of diabetic ketosis or ketoacidosis in new-onset acute and fulminant type 1 diabetes mellitus. Ann Med 2008;40(5):395-400.
  • Imagawa A, Hanafusa T, Iwahashi H, Uchigata Y, Kanatsuka A, Kawasaki E, Kobayashi T, Shimada A, Shimizu I, Maruyama T, Makino H. Uniformity in clinical and HLA-DR status regardless of age and gender within fulminant type 1 diabetes. Diabetes Res Clin Pract. 2008 Nov;82(2):233-7.
  • Murase Y, Imagawa A, Hanafusa T, Iwahashi H, Uchigata Y, Kanatsuka A, Kawasaki E, Kobayashi T, Shimada A, Shimizu I, Maruyama T, Makino H. (2007) Fulminant type 1 diabetes as a high risk group for diabetic microangiopathy-a nationwide 5-year-study in Japan. Diabetologia. 50:531-7.
  • Shimizu I, Makino H, Imagawa A, Iwahashi H, Uchigata Y, Kanatsuka A, Kawasaki E, Kobayashi T, Shimada A, Maruyama T, Hanafusa T. Clinical and immunogenetic characteristics of fulminant type 1 diabetes associated with pregnancy. J Clin Endocrinol Metab. 2006 Feb; 91 (2) :471-6.
  • Imagawa A, Hanafusa T, Uchigata Y, Kanatsuka A, Kawasaki E, Kobayashi T, Shimada A, Shimizu I, Maruyama T, Makino H.  Different contribution of class II HLA in fulminant and typical autoimmune type 1 diabetes mellitus. Diabetologia. 2005 Feb; 48 (2) :294-300.
  • Imagawa A, Hanafusa T, Uchigata Y, Kanatsuka A, Kawasaki E, Kobayashi T, Shimada A, Shimizu I, Toyoda T, Maruyama T, Makino H.  Fulminant type 1 diabetes: a nationwide survey in Japan. Diabetes Care. 2003 Aug; 26 (8) :2345-52.

総説

  • 今川彰久、花房俊昭 劇症1型糖尿病—成因についての新しい知見を中心として Diabetes J 39(4):158-166, 2011
  • 今川彰久、花房俊昭 見逃してはいけない糖尿病の特殊型―劇症1型糖尿病 日本医事新報(4408):57-61, 2008
  • 清水一紀、牧野英一 妊娠関連発症劇症1型糖尿病の臨床的特徴とクラスII HLA 糖尿病と妊娠 5 (1) :31-36, 2005
  • 宮本茂樹、 染谷知宏 劇症1型糖尿病 非自己免疫と考えられる糖尿病の新しい1亜型 小児科45 (1) :84-88,2004.
  • Urakami T, Nakagawa M, Morimoto S, Kubota S, Owada M, Harada K.日本人小児における特発性1型糖尿病の劇症発症型の特徴 Clinical Pediatric Endocrinology 11 (1) :43-47,2002
  • Hanafusa T, Imagawa A. Fulminant type 1 diabetes: a novel clinical entity requiring special attention by all medical practitioners. Nat Clin Pract Endocrinol Metab. 3: 36-45, 2007.

活動内容

1.劇症1型糖尿病の新規症例登録

 成因解明には新規症例の検討が必須です。先生方からの御紹介をお待ちしています。ダウンロードして記入した 症例調査票 を下記の 「送付先」 に郵送して下さい。
 また、ウイルス抗体等の測定が可能です(別紙計画書)。入院時(あるいはそれに準じる時期)の血清を約5ml(それ以下でも可)と、ペア血清として発症2~4週間後の血清(約5ml:それ以下でも可)も併せて採取してください。採取された血清はいったん各施設で凍結保存をお願いします。
 症例調査票にウイルス抗体価等測定希望の旨を明記していただきますと、こちらから送付用伝票とスピッツをお送りします。
 なお、血清を採取するにあたっては、検査内容等について患者さんに説明していただき、患者さんの同意をいただいた上で、患者さんに同意書に記入していただいて下さい。同意書は各施設で保存して下さい。
 ご質問などございましたら、下記 「問合せ先」 にお願いします。

2.全ゲノム関連解析

1型糖尿病患者を急性発症典型例、劇症1型糖尿病、緩徐進行1型糖尿病に分類し解析していますが、ゲノムを提供して頂ける患者さんのご紹介をお待ちしています。「問合せ先」まで御連絡下さい。

3.膵画像所見に関する調査

MRI(T1/T2強調画像・拡散強調画像:DWI)を施行した症例がございましたら、「問合せ先」までご連絡ください。

(研究計画) (PDF 100KB)

問合せ先

大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科 今川彰久
 E-mail: aimagawa@endmet.med.osaka-u.ac.jp
 TEL: 06-6879-3732

送付先(症例登録票)

〒569-8686 高槻市大学町2-7
 大阪医科大学第一内科 花房俊昭、池田明華
 (TEL: 072-683-1221)

劇症1型糖尿病 症例調査票 ver2.1

症例調査票は下記のリンクからダウンロードすることができます。Excel形式です。

症例調査票をダウンロードする (Excel形式)
説明同意書(血清用)をダウンロードする(PDF形式)

劇症1型糖尿病の名称

日本糖尿病学会「糖尿病」編集委員会においても、「劇症1型糖尿病(fulminant type1 diabetes mellitus)」という名称を使用することとしており、今後統一してこの名称を使用することが望ましいと考えます。

参考:劇症1型糖尿病診断基準(2004)

下記1~3のすべての項目を満たすものを劇症1型糖尿病と診断する。

  • 糖尿病症状発現後1週間前後以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る(初診時尿ケトン体陽性、血中ケトン体上昇のいずれかを認める。
  • 初診時の(随時)血糖値が288mg/dl(16.0mmol/l)以上であり、かつHbA1c値<8.5%である。
  • 発症時の尿中Cペプチド<10μg/day、または、空腹時血清Cペプチド<0.3ng/mlかつグルカゴン負荷後(または食後2時間)血清Cペプチド<0.5ng/mlである。

<参考所見>

A)原則としてGAD抗体などの膵島関連自己抗体は陰性である。

B)ケトーシスと診断されるまで原則として1週間以内であるが、1~2週間の症例も存在する。

C)約98%の症例で発症時に何らかの血中膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1など)が上昇している。

D)約70%の症例で前駆症状として上気道炎症状(発熱、咽頭痛など)、消化器症状(上腹部痛、悪心・嘔吐など)を認める。

E)妊娠に関連して発症することがある。

(糖尿病48(suppl1):A1-A13, 2005)

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