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緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2012)

緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2012)

【必須項目】

1.
経過のどこかの時点でグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体もしくは膵島細胞抗体(ICA)が陽性である。a)
2.
糖尿病の発症(もしくは診断)時、ケトーシスもしくはケトアシドーシスはなく、ただちには高血糖是正のためインスリン療法が必要とならない。b)

判定:上記1、2を満たす場合、「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)」と診断する。

a)
Insulinoma-associated antigen-2(IA-2)抗体,インスリン自己抗体(IAA)もしくは亜鉛輸送担体8(ZnT8)抗体に関するエビデンスは不十分であるため現段階では診断基準に含まない。
b)
ソフトドリンクケトーシス(ケトアシドーシス)で発症した場合はこの限りではない。

【参考項目】

1)
経過とともにインスリン分泌能が緩徐に低下し、糖尿病の発症(もしくは診断)後3ヶ月を過ぎてからインスリン療法が必要になり、高頻度にインスリン依存状態となる。なお小児科領域では、糖尿病と診断された時点で、ただちに少量(0.5単位/kg体重以下)のインスリン投与を開始することがある。内科領域でもGAD抗体陽性が判明すると、インスリン分泌低下阻止を考慮してインスリン治療がただちに開始されることがある。
2)
GAD抗体やICAは多くの例で経過とともに陰性化する。
3)
GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。

詳細は、糖尿病 2013;56(8):590-597 を参照して下さい。

更新:2023年1月12日