The Japan Diabetes Society

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九州支部

九州支部長ご挨拶

熊本大学大学院生命科学研究部 代謝内科学分野 荒木 栄一 熊本大学大学院生命科学研究部
代謝内科学分野


荒木 栄一
 2007年より日本糖尿病学会九州支部の支部長を務めさせて頂いている熊本大学の荒木でございます。九州支部の支部長として、故宮尾定信先生、故三村悟郎先生、七里元亮先生、名和田新先生に続いて、5代目の支部長です。

 生活習慣の急速な欧米化、とくに動物性脂質摂取量の増加とモータリゼーション普及による運動量の低下などが影響して、糖尿病は年々増加し、今や国民病とまで呼ばれています。肥満症やメタボリックシンドロームに関する国民の関心もこれまでにない高まりをみせており、代表的な生活習慣病である糖尿病もさらに注目されています。

 糖尿病は国外においても著しく増加しており、糖尿病有病者の世界的な増加は社会的にも経済的にも甚大な問題となりつつあります。早急な糖尿病対策が国際間においても必要であり、2006年国連において“UN Resolution on Diabetes”(糖尿病に関する国連決議)が採択されました。糖尿病の増加は日本を含むアジア地域においても顕著であり、日本糖尿病学会はもちろん、九州支部として果たす役割は大きいと言えます。日本の素晴らしい糖尿病の診療技術や研究などの交流を通して、アジアをはじめとした世界各国への貢献を行う時期が到来しています。国内では、2005年に各都道府県単位で医師会と糖尿病学会、糖尿病協会を主体とする糖尿病対策推進会議が設立され、それぞれが当該地域の実状に応じた糖尿病対策を推進しています。


これまでに九州支部として、
1)
2型糖尿病の予防およびテーラーメイド治療に向けての2型糖尿病疾患感受性遺伝子の同定
2)
九州支部地方会賞の設立
3)
糖尿病対策推進会議の活性化
4)
九州支部ホームページの充実と学会抄録のオンライン化
5)
日本糖尿病学会本部と九州支部の事務会計の一本化
など様々な試みを継続的に行い、確実な成果が得られてきています。

 2011年には第45回糖尿病学の進歩(会長:山田研太郎先生)、2012年には第27回日本糖尿病合併症学会(会長:梅田文夫先生)、2013年には第56回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:荒木栄一)が九州で開催されました。いずれの学会も盛会となり、九州発の糖尿病診療と研究に関する重要なメッセージを世界に向け発信できました。このような素晴らしい成果の根源は、九州支部会員の皆様の御支援と御尽力の賜物に他なりません。今後も栄誉ある学会をこの九州の地へ招致し、九州発のメッセージを継続的に発信できるよう努めていく必要があります。

 学術的にも、九州支部から坂口賞、ハーゲドーン賞、リリー賞、若手研究奨励賞を輩出しております。現在も優れた臨床研究が進行しており、今後益々、九州からの基礎および臨床における糖尿病研究が、世界に向け発信されることに期待しております。

 九州各県における独自の糖尿病対策が考案され、糖尿病医療連携システムの構築も進んでいるようです。また糖尿病チーム医療の核となる日本糖尿病学会専門医や日本糖尿病療養指導士の養成や育成を促進する試みも継続的に行われ、最近は日本糖尿病療養指導士と地域糖尿病療養指導士との相互協力や育成も推進されています。このような取組みが機能的に連携することで、九州の糖尿病診療レベルの向上がさらに促進されるものと信じます。

 今後も、九州支部会員の皆様の御支援を仰ぎながら、九州支部の更なる活性化に尽力し、九州の地から世界に向けて研究や臨床の成果を発信できるように努力したいと考えております。九州支部会員の皆様の益々のご活躍を祈念し、ご協力をお願いして九州支部長の挨拶といたします。

更新:2015年8月5日