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「無自覚性低血糖症」を示す者の運転免許証の申請について(理事会見解)

「無自覚性低血糖症」を示す者の運転免許証の申請について(理事会見解)

「運転免許の欠格事由の見直し等に関する運用上の留意事項等について」全文(PDF 54KB)

本年6月1日から、改正道路交通法令が施行されました。この施行に関連して、日本糖尿病学会理事会の見解をご参考までに述べさせていただきます。

道路交通法の改正に伴い、免許を与えない者もしくは保留することができる者の中に「発作により意識障害または運動障害をもたらす病気であって政令で定めるもの」(第90条1項ロ)が規定され、さらに、道路交通法施行令第33条の2の3の2項に「無自覚性の低血糖(人為的に血糖を調節することができるものを除く。)」が定められた。

先般、警視庁交通局運転免許課は、「無自覚性低血糖症」をもつ者が免許を申請した場合の窓口における警察側の処理対応のガイドラインを作成し、それに基づいて6月1日より免許申請者への対応が進められている。

ここで「無自覚性低血糖」に関する診断書作成にかかる医師の要件と適性検査および適性検査にかかる医師の要件についての見解を示す。

1. 診断書作成にかかる医師の要件について
「無自覚性低血糖症」と診断される糖尿病患者は、血糖コントロールが困難な場合が多く、膵内分泌機能(インスリン分泌能)が著しく低下している患者である。したがって、このような患者の主治医は、糖尿病の診療に熟達した経験豊富な医師であることが望まれる。

申請者の直近の状況については、主治医がもっともよく把握しているべきであり、診断書を作成する医師としてもっとも適切である。

2. 適性検査および適性検査にかかる医師の要件について
適性検査が必要と判断された申請者に対して「運転を控えるべき」か「運転を控えるべきとはいえない」かを判定するのは一般に容易な作業とはいえず、一回または短時間の診察および検査によって結論を導き出すには慎重でなければならない。

「運転を控えるべき」と判定するには、とくに、病名、病型の診断、これまでの病歴、最近の検査データ、血糖コントロール状況(血糖自己測定データも含む)、治療内容など十分な資料が必要である。

「運転を控えるべき」かどうかが問題となるような、血糖コントロールが不安定でしばしば無自覚性低血糖を伴う糖尿病患者の診療は、糖尿病患者の診療に豊富な経験をもつ医師が望ましい。

ただし、たとえそうした医師といえども一回の診療でそれまでの経過、病歴、治療内容などと切り離して「運転を控えるべき」か否かを判定するのは容易ではなく、主治医からの情報提供を受けて総合的に判断することが不可欠である。

平成14年7月7日

日本糖尿病学会理事会

なお、警察庁交通局免許課ホームページに掲載された「運転免許の欠格事由の見直し等に関する運用上の留意事項等について」(PDF 54KB)の全文も添付いたしますが、20~23ページの記載部分が関連が深いものと考えます。

更新:2006年1月20日

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