日本における糖尿病患者数は増加の一途を辿り、2007年の統計では全国の糖尿病患者数は890万人と推定されています。これに伴って、糖尿病合併症をもつ患者数も急増しています。糖尿病腎症を原因として、人工透析を新たに導入された患者数は2008年に16,126人で、新規透析導入の基礎疾患の第1位です。また、糖尿病網膜症による視力障害の患者数は、2005年に年間約3,000人に達しています。最近では、糖尿病による下肢切断も増えています。
このような状況は糖尿病患者の生活の質を低下させる一方、医療経済の面でも大きな問題となっています。糖尿病関連の医療費も増加し、2003年には約1.9兆円となりました。従って、糖尿病合併症の発症とその進行予防の方策を講じることは国家的な急務ですが、日本全国における合併症の実態は明確に把握されていません。
そこで、日本糖尿病学会が中心となって「糖尿病における合併症の実態調査とその治療に関わるデータベース構築による大規模研究」を立案し、2006年度からは厚生労働科学研究費補助金「糖尿病における失明、歯周病、腎症、大血管合併症などの実態把握とその治療に関するデータベース構築による大規模前向き研究」の助成を得て、この研究事業(Japan Diabetes Complication and its Prevention prospective study:JDCP study)がスタートしました。全国の糖尿病患者約1万症例のデ−タベースを構築し、糖尿病合併症の実態を明らかにするとともに、前向きに追跡して、合併症の進行とそのリスク因子を明らかにすることを目的としています。
研究成果は、糖尿病のより良い治療や糖尿病治療ガイドラインに資することになります。本研究において、コホートの完全な追跡とデータの精度管理は必須であり、厚生労働省からは、国立国際医療センター糖尿病情報センターのデータベースシステムにも患者登録をするよう要請されています。
日本糖尿病学会、日本腎臓学会、日本糖尿病眼学会、日本歯周病学会の4学会の専門家が総力をあげて、本研究を遂行していますが、諸先生方のご理解とご支援なしに成功させることはできません。
皆様方のご協力を心よりお願い申し上げます。
研究代表者 田嶼 尚子
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