川久保 充裕(Mitsuhiro Kawakubo)

所属
西尾市民病院 内分泌・糖尿病内科
自己紹介
2010年に香川大学医学部を卒業。安城更生病院で初期研修後、内分泌・糖尿病内科の専攻医として勤務。名古屋大学 糖尿病・内分泌内科学教室に入局、一宮市立市民病院での勤務を経て、名古屋大学医学系研究科に大学院生として入学、名古屋大学環境医学研究所 分子代謝医学分野にて研究の後、博士号を取得。2019年4月に西尾市民病院に赴任し現在に至る。
西尾市民病院への赴任
赴任した時、私ははじめて内分泌・糖尿病内科の長となり科を引っ張る立場となることへの不安や、病院にどう貢献していけばいいかという悩みでいっぱいでした。
私が赴任する以前は、西尾市民病院には糖尿病・内分泌内科専門医の常勤医がしばらくおらず、看護師、薬剤師、栄養士、臨床検査技師、理学療法士から構成される委員会組織はあったものの、どのように活動していったらよいのか迷っている状態でした。私は赴任によりこの委員会の長ともなることで、方向性を考えなくてはいけない立場になったのです。
私は“最新の知見に基づいた、一人ひとりにあった最善の糖尿病・内分泌診療を提供する”を目標として活動していくこととしました。具体的にはこれまで勤務した病院の良い所を取り入れて、インスリンスケールの標準化やPOCT(point-of-care testing)機器、持続血糖測定器、インスリンポンプの導入を行いました。ハード面のみならずソフトの面においても、医師を含めたコメディカルスタッフ持ち回りで行う月1回の外来糖尿病教室、世界糖尿病デーに合わせた年1回の糖尿病デーイベント、さらに糖尿病透析予防指導外来を立ち上げました。
機器の導入やイベント、外来の立ち上げには、多くの困難がありました。しかし困難以上に多くの幸せと喜びをもらってきました。当初は一人で糖尿病チームを盛り上げようと頑張っていましたが、徐々にチームにその熱意が波及して、糖尿病に興味を持って糖尿病療養指導士や糖尿病看護認定看護師を目指してくれるスタッフや、研修医から内分泌・糖尿病内科を専攻したいという先生が出てきています。これは私にとって本当に幸せなことで、これからも頑張っていこうと心から思える、モチベーションとなっています。
災害医療での活動について
私が小学生の頃、阪神大震災がありました。その後、医師を目指したいと考えていた高校生の時に、神戸大学の先生に震災のお話を伺う機会がありました。その時に、災害医療に興味を持ち、DMAT(Disaster Medical Assistance Team)の隊員にいつかは自分もなって、災害で困っている人たちの力になりたいと考えていました。DMAT隊員養成研修も狭き門でなかなか受けることができませんでしたが、念願かなって2019年にDMAT隊員となったのち、2020年2月に横浜港停泊中のダイアモンドプリンセス号の船内活動にDMAT隊員として参加しました。DMATというと、救急や循環器系、外科系の先生方が多い印象だと思います。しかし現実にはダイアモンドプリンセスでの活動や、他の災害においても、糖尿病でインスリンを使っている方や、内分泌疾患でホルモン補充療法を受けている方は多く、内分泌・糖尿病内科医が必要とされる場面は少なくないと感じています。
今後に向けて
2025年4月に念願であった日本糖尿病学会の認定教育施設Ⅰの認定を得ることができました。糖尿病チームでは地域への情報発信の一環として、インスタグラムのアカウントも作成して情報発信を開始しました。さらに外来糖尿病教室ではクイズ形式の導入、ミニ講座として季節にあわせた料理の紹介、体操を月替わりで行うようになりました。糖尿病デーに合わせた糖尿病デーイベントは、大型ショッピングモールでの開催を予定しています。今後も試行錯誤しながら、日々アップデートを続けて、地域の糖尿病診療を盛り上げていく活動を続けていきたいと考えています。
災害医療においては、2025年に統括DMATの資格を取得しました。西尾市民病院のある地域は南海トラフ地震発災時には津波被害も含めて甚大な被害が想定される地域であり、有事の際に迅速な対応ができるように訓練・現場活動を継続して行い、災害医療の一助を担っていきたいと考えています。
筆者:右から3番目
更新:2026年6月12日
※所属は掲載当時のものです

