三小田 亜希子(Akiko Sankoda)

所属
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 女性内科
「女性内科」という診療科は、あまり聞きなれないものかもしれません。この企画の趣旨と少し離れてしまうかもしれませんが、最初に私の職場についてご紹介させてください。国立成育医療研究センターは小児と周産期医療を専門とする病院・研究所ですが、2024年に女性の健康総合センターが新たに設立されました。女性内科には、周産期診療を強みとする複数の診療科出身の内科医が所属しています。糖尿病を専攻する医師は7名、力を合わせて診療と研究に従事しています。日常診療のなかに「子ども」や「妊娠」という要素が自然に組み込まれていることが特色です。職場環境のためか、私にとって子育てに奮闘する毎日は、仕事に奮闘する毎日と切っても切り離せない表裏一体の関係です。
私自身は大学院に進学した際に長女を出産し、現在は3人の子どもを育てています。子どもが生まれるまでは、24時間すべて自分の裁量で使えたのに、出産後は、私が仕事をする時間がそのまま「子どもが母親と離れて過ごす時間」になりました。母親としての役割と責任の大きさに、強い戸惑いと不安を感じたことを今でもよく覚えています。これまで、稲垣暢也先生、原田範雄先生、脇嘉代先生、荒田尚子先生をはじめ、多くの先生方にご指導いただいてきました。先生方は、私の家庭の状況も常に配慮しながら、一方で挑戦の機会は惜しまず与えてくださいました。温かい理解とサポートを示してくれる同僚に恵まれてきたことも大きな幸運でした。さらに、子どもを通して知り合った保育園や学校の先生方、ママ友・パパ友の存在にも、これまで幾度となく助けられてきました。自分ひとりの力ではどうにもならない出来事の連続で、日々自分の無力さを思い知らされますが、同時に、こんなにもたくさんの人たちが手を差し伸べ助けてくださるんだ、という事実に何度も心を救われてきました。医局で待たせていたら淋しくなって泣き出してしまった娘に優しく寄り添ってくださった先生、学童の絶望的に長いお盆休みに子供を遊びに連れだしてくださったご家族、連日寝かしつけと称した早寝で仕事が進まなくても辛抱強く指導くださる先生等々、ここには書ききれない大勢の方の「優しさ」に支えられて、子育ても仕事もどうにか成り立っています。この場をお借りして、心から御礼申し上げます。
本人:前列・左から2人目
この経験は、日々の診療に新たな視点をもたらし大きな助けとなっています。診察室でお会いする女性一人ひとりが、病気を抱えながら仕事や不妊治療、妊娠・出産、そして子育てに向き合っておられる姿に、いつも私自身が励まされます。ライフステージの節目に医師として寄り添えることへの感謝と同時に、よりよいサポートができるよう自分自身もスキルを高めていきたいと考えるようになりました。また、職場の皆が、結婚、子育て、介護など、人生のさまざまな選択や悩みを経験しています。それらを自然に共有しながら働ける風土があることは、仕事を続けるうえで大きな支えです。
寄稿の機会を頂戴したものの、何をどのように綴ればよいのか悩ましく、果たしてこれが「子育て奮闘記」なのか心配ですが、もしこの文章をきっかけに女性内科という診療にも関心を持ってくださる方がいれば大変うれしく思います。
更新:2026年3月19日NEW
※所属は掲載当時のものです

