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それぞれのストーリー

馬殿 恵(Megu Baden)

馬殿 恵(Megu Baden)

 

所属

大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学ライフスタイル医学寄附講座

なぜ糖尿病を専門にしたのか

私が糖尿病を専門とした理由は、心血管疾患や腎不全など生命に直結する合併症の予防に携われることに大きな魅力を感じたからです。そしてレジデントの頃、心筋梗塞を発症したばかりの糖尿病患者様を担当しました。その方が話された「もっと早くから食事に気をつけていればよかった・・・」という言葉が強く心に残り、この出会いをきっかけに、特に食事療法に興味を持つようになりました。

これまでの歩み

市立豊中病院、一般財団法人住友病院で研修を行い、大阪大学大学院で糖尿病の基礎研究・臨床研究の経験を積ませていただいた後、食事と健康についての理解をさらに深めたいと思い、当時研究室チーフをされていた今川彰久先生と下村伊一郎教授、また公衆衛生学の磯博康教授のご高配により2018年からハーバード大学にて栄養疫学研究に携わる機会をいただきました。たくさんの国から研究者が集まる国際的環境で、様々な食事研究手法や国際的食事ガイドラインの作成に関わることができ、大きな学びを得ました。一方で、幼い子供二人を連れての海外留学生活は(家族一緒の安心感はあるものの)決して容易ではありませんでした。そんな中、渡米した最初のクリスマスに、日本から研究室の先生方の応援メッセージが寄せ書きされたカードが届きました。懐かしく温かい言葉を読んだ瞬間、ありがたさに胸が熱くなり、おもわず涙がこぼれたことを覚えています。多くの仲間や恩師の先生方(特に当時の研究室チーフ岩橋博見先生、現チーフ小澤純二先生)に支えられていることを改めて実感し、困難を乗り越える大きな力となりました。

現在の研究と将来展望

2020年に帰国し、現在は食習慣や味覚と糖尿病・異所性脂肪蓄積・フレイルとの関連を中心に研究を進めています。また、「Teaching Kitchen」という新たな生活習慣改善プログラムの研究・実装にも取り組んでいます。食事や運動、マインドフルネスを学び、調理体験を取り入れたこのプログラムは、米国では臨床現場に加えて医学教育にも導入されており、日本食の健康効果や個別化支援を組み合わせることで、糖尿病診療に新たな選択肢を提供できるのではないかと考えています。

未来の糖尿病研究者の皆様へ

若輩の私がこのようなメッセージを書かせていただくのは恐縮ですが、糖尿病は生活習慣、遺伝素因、様々な臓器が関連する複合的な疾患であり、基礎、臨床、疫学、デジタルヘルスと研究領域が幅広いことも、糖尿病研究の大きな魅力の一つです。これから研究を始められる先生方には、ぜひご自身の興味を大切に、挑戦を続けていただきたいと思います。そうして築かれた多領域の知見が組み合わさることで、糖尿病臨床および社会全体に大きなインパクトがもたらされると信じています。
私自身もまだまだ学びの途上ですが、これまでにいただいたご恩をお返ししながら、先生方と共に歩ませていただければ幸いです。

馬殿 恵(Megu Baden)
大阪大学 医局写真
本人:前から2列目・右から6人目

更新:2025年12月18日

※所属は掲載当時のものです

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