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それぞれのストーリー

中西 八重子(Yaeko Nakanishi)

中西 八重子(Yaeko Nakanishi)

 

所属

すずか糖尿病クリニック

看護師を目指した理由

幼少期にフローレンスナイチンゲールの伝記を読み、優しく強い信念をもって傷病者を手当てする姿がかっこいいと思ったことが看護師を目指すきっかけとなりました。学生時代にボランティア活動を多く経験し、誰かのために自分が役に立つ職業に就きたいと思い看護の道を選択しました。

糖尿病看護との出会い

現在看護師になり28年目を迎えました。看護師免許を取得して総合病院に勤務していたころは1年半から2年で部署移動があり、整形外科や脳外科、神経内科、泌尿器科病棟や外来処置室で勤務をしていました。卒後9年目を迎えるころ上司に「今後はどのような看護師になりたいか」と看護師としての歩み方を考える機会をいただきました。その時に見た日本看護協会の資料で看護師にはジェネラリストとスペシャリストの道があることを知りました。私は、特定の分野に特化し専門的なケアを担うスペシャリストになりたいと考えるようになりました。

当時の認定看護師の分野で心を奪われたのが糖尿病看護でした。それまでの臨床経験で、どの部署に配属されても糖尿病を持つ患者が多く、糖尿病をもち治療を受けている患者の多くは回復に時間を要し、また回復過程の中で急性増悪し重症化することが多かったことから、糖尿病について専門的に学び、看護師として成長したいと考え認定看護師課程を受験しました。

認定看護師の研修学校に入学してから糖尿病に関する専門資格に日本糖尿病療養指導士があることを知り、同期の多くは療養指導士として活動していました。周囲と比べると素人同然の知識とスキルで研修をスタートしましたが、教員や指導者、同期のサポートを受けながら認定看護師を取得することができました。

糖尿病の専門家として地域に貢献したい

所属施設の来院患者は40~80歳代が中心で、自動車製造業が盛んな地域のため下請け会社も多く、ブラジル、ペルー、スリランカ、中国出身の外国籍労働者が多いため、外国人で糖尿病を持つ方も多く通院しています。年齢や国籍に関わらず、健診を受けていない方や治療中断などで初診時の患者のHbA1cが10%を超えることも多く糖尿病の専門家による啓発やサポートが重要と感じています。地域医療の特徴として中核病院に常勤の糖尿病専門医が不在で糖尿病専門クリニックも少ない現状があります。また2024年に登録されている県内の日本糖尿病療養指導士は208名と糖尿病患者をサポートする体制が脆弱な環境にあります。

現在、院外活動の一旦として市の保健センターで年2回、市内の糖尿病患者やその家族を対象とした糖尿病教室を担当し保健師や歯科衛生士、市の管理栄養士と企画内容を考え、参加者がその方らしく健康的に過ごす方法を見つけられるように取り組んでいます。これら行政の健康に関する事業への参画や、教室で参加者と交流をする中で、健康管理に対する考えや行動を知ることができ貴重な時間だと感じています。

また、近隣医療機関の医療職を対象とした研修会の開催や東海地方の糖尿病看護認定看護師と看護職対象の研修会を開催しており、医療職者の糖尿病支援スキルの向上に貢献していきたいと考え活動しています。

中西 八重子(Yaeko Nakanishi)
クリニック敷地内の調剤薬局と低糖質カフェ外観

おわりに

療養支援でうまくいかないと感じたことを振り返ると自分の視野や想像力が不十分だったと感じます。認定看護師資格を取得してから、結婚・妊娠・出産・子育て・親の介護と自身のイベントと向き合いながら療養支援に携わってきました。人生経験を積み重ねることで患者さんとの話題や生活状況の聞き取りもより具体的にできるようになってきました。その方の生活や気持ちを想像しながら、糖尿病の専門家として支援が必要な内容をより具体的に考えられるようになってきたと思います。現在は外国籍の糖尿病を持つ方へのサポート力を高めるべく、通訳スタッフとともに日々奮闘しています。

中西 八重子(Yaeko Nakanishi)
当クリニック管理栄養士監修の低糖質メニュー

更新:2025年5月15日

※所属は掲載当時のものです

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