久米 真司(Shinji Kume)

所属
滋賀医科大学 糖尿病内分泌・腎臓内科
自己紹介
私は滋賀県彦根市で生まれ、地元の小・中・高校を経て滋賀医科大学に進学しました。卒業後は、現在の教室の前身である滋賀医科大学第3内科に入局しました。当時の教室は、糖尿病を中心に血管合併症の診療・研究・教育に精力的に取り組んでおり、臨床だけでなく研究を含めた多方面での活躍が可能な環境だと感じたことが、入局の決め手となりました。研修を経て大学院に進学し、学位を取得。その後、日本学術振興会の特別研究員PDを務め、現教室にて助教・講師を経て、令和4年11月より教授を拝命しました。
可能性の探究
大学卒業時の私は臨床医として活躍することを目指していました。しかし、大学院で研究生活を経験し、その後も大学院生の指導を通じて、若い先生方が新たな挑戦をし、困難を乗り越えながら成長していく姿を見守ることに大きなやりがいを感じるようになりました。臨床・研究・教育のすべてが私にとって欠かせないものであり、それを継続したいと思い、大学に残る決意をしました。もし私が第3内科に入局せず、また大学院に進学しなかったとしたら、今も臨床医として日々を過ごしていたでしょう。こうして多様な環境に身を置けたことに、そして、私の可能性を引き出す機会をくれた教室への感謝の念は尽きません。現在の専門医制度のもとで研修を受ける若い先生方の中には、研究や大学での教育職に魅力を感じない方も多いかもしれません。しかし、自分の可能性を狭めることなく、さまざまな挑戦を通じて自らの道を見極めてほしいと願っています。
研究経験の重要性
医師が行う研究の目的は多岐にわたります。治療に直結する基礎研究や、ガイドラインを変えるような臨床研究は確かに重要ですが、研究の意義はそれだけではありません。自分の専門領域における未解決の課題は何か、それをどのように解決に近づけるか、これらを考える機会を持つことだけでも大きな価値があります。教科書や参考書から受動的に学ぶだけでなく、自らの手で患者さんに起きていることに関して研究を通じて知る経験は、臨床に戻った際にも必ず役立ちます。私自身、20年前は参考書やガイドラインから知識を得て診療を行っていました。しかし、研究を通じて得た知識を背景に診療を行う今、病気の病態理解が深まり、結果、患者さんへの説明の深みが増し、理解や信頼をより強く得られていると感じます。研究生活を続けてきたことが臨床医としての自分にも大きな影響を与えたことは間違いありません。
さいごに
自分の人生をどのように形作るか、それを決められるのは自分自身だけです。正解の道を探すことに時間を費やすのではなく、自ら選んだ道を正解にするために努力を重ねることが何より大切だと思います。何事にも楽しみを見出し、挑戦し続けてください。

更新:2025年5月15日
※所属は掲載当時のものです