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それぞれのストーリー

浜松 圭太(Keita Hamamatsu)

浜松 圭太(Keita Hamamatsu)

 

所属

倉敷中央病院 内分泌代謝・リウマチ内科

自己紹介

2008年に京都大学を卒業後、倉敷中央病院での研修を経て、2014年に京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学に入局しました。大学院では膵β細胞イメージングの研究に関わり、学位を取得しました。2020年に倉敷中央病院に改めて入職し、現在に至っています。急性期病院での業務と、7歳と4歳の二人の息子の子育てに追われる日々を過ごしています。

子育てに対する意識の変化

子どもができるまでは、患者さんや自身のために夜間・休日を厭わず診療・研究に努めることにそれほど違和感はありませんでした。長男が出生したのは、大学院での研究成果がある程度揃い、論文投稿中でした。研究活動がひと段落していたのと、子育て中の上司・先輩の理解もあり、子育てに時間をとることができました。子どもが小さいうちは泣き出すと母乳が必要で、無力感に苛まれていましたが、成長につれて離乳食づくり、散歩、寝かしつけ、保育園の送り迎えなど関われる範囲が広がり、徐々に意識が変わっていったように思います。

二児の子育てと急性期病院の両立の難しさ

現職の倉敷中央病院に戻った直後に次男が出生しました。二児の子育ては「強くてニューゲーム」ではなく、「イヤイヤ期」の兄を抱えたハンディキャップ戦でした。機嫌よく遊んでいる弟からおもちゃを取り上げたり、ようやく寝付いた弟を叩き起こしたりと、なかなかに大変です。

そんな中、当院では18~20時など平日夜に行われるカンファレンスや会議が多く(それでも以前より減った)、その裏で夕食、風呂、宿題、寝かしつけなどのピーク時間帯のワンオペ対応を妻に強いることになります。また、大学院で離れていた間に終業時刻が17時から17時半と遅くなったり(我が家は17時半には夕食をとるので、団欒に加われない!)、一部祝日に業務稼働させたりと、マイナス方向の変更が多かったです。

当院での業務改革

PRもしておくと、当院では宿日直許可を取っておらず、夜勤(従来の当直)前後には帰宅でき、休日勤務には振替休日を取ることができます。従来、時間外に行われていた講習会はほぼe-learningに置き換わり、男性育休などの制度も徐々に活用されるようになっています。検査データ参照や文献検索が自宅ででき、職員用メール・SNS・クラウドがスマホや院外PCでも利用可能な環境があり、診療上や学会発表などの若手指導にも役立っています。

子育ては特定の数か月だけが忙しいわけではありません。小学校低学年までは、忙しさの質は変わっても、量は変わらない時期が続いています(まだ第1子が小2になったばかりなので、それ以降は分かりません)。仕事と子育ての両立には、育休など短期的な対応だけでなく、定常的に定時に帰ることが当たり前の勤務体制・意識改革が必要と考えています。幸い、診療科内である程度の発言権もある立場になったので、子どもができた若手専攻医のために(それにかこつけて自分のために)、身の回りから業務改革を進めています。平日の終業時刻を17時に戻したり、有給休暇の申請システムを作り率先して取得したりと、彼らのモデルケースになれるよう振る舞っているつもりです。

浜松 圭太(Keita Hamamatsu)

我が家の現状と今後の展望

上記改革もあって、平日週2回ほど夕食を一緒に取れ、授業参観や個人懇談など学校行事に参加でき、家族旅行にも行きやすくなりました。ただ、日勤帯に余裕があっても時間外カンファレンスや会議のために帰宅が遅くなる点は問題だと思っていて、今後はSNSを活用して、これらを勤務時間内に収めたいと思っています。

病院外に目を向けると、保育園や小学校、公園やレストランなどでお父さん方が子育てに関わる姿をよく拝見し、自身が子どもの頃とは時代が違うと実感します。もちろん彼らのほとんどは医師ではないでしょうが、だからこそ医師の世界に未だ漂っている(ように見える)、仕事をしながら育児に関われないのは当たり前という前世紀の価値観は変えないといけないと感じています。

更新:2025年5月15日

※所属は掲載当時のものです

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