大倉 毅(Tsuyoshi Okura)

所属
鳥取大学医学部附属病院 内分泌代謝内科
現在、鳥取大学医学部附属病院で糖尿病専門医として働いています。2019年3月~2020年12月までの2年弱、アメリカ・オハイオ州にある、シンシナティ小児病院内分泌部門・中村研究室に留学させていただきました。ラボのPIである、中村能久先生は東大の医科学研究所からハーバード大学のHotamisligil研究室に留学されており、2013年からシンシナティでPIになられています。肥満、代謝、慢性炎症、RNAネットワークなどがご専門です。同じ内分泌部門の成長ホルモンのラボに留学されていた、鳥大小児科の藤本正伸先生にご紹介いただきました。私は小児の肥満外科手術の臨床研究、その基礎研究に携わさせていただきました。臨床研究のデータが共著者としてObesity誌に掲載されております(Swertfeger D, Kim A, Okura T, Nakamura T, Divanovic S, Shah AS, et al. Obesity. 2024)。小児の肥満手術60名ほどの解析を行っておりましたが、大変貴重なデータと思われました。他に筆頭著者としても執筆させていただいているところです。

シンシナティについては留学前には失礼ながらメジャーリーグのレッズくらいしか知りませんでしたが、シンシナティ小児病院はポリオのワクチンが開発された病院で、小児病院としては全米No1の評価を受ける事もあるところでした。今年の糖尿病学会で武部貴則先生のご講演にもありましたように、多くの優れた研究者がおられ、実験機材も充実しており、いろいろな研究をさせて頂きました。科学研究費の国際共同研究費も獲得でき、研究の幅はずいぶん広がったと思います。
生活面ではなれないアメリカ生活で最初の1年は苦労しましたが、慣れてきてある程度コミュニケーションが取れるようになるとずいぶん世界が広がったと思います。オハイオ州はトヨタ、ホンダなどの関係者も多く日本人も多く、親日的に思います。シンシナティ小児病院、シンシナティ大学は日本人のPIも多くおられ、私達家族が住んでいる地域には日本人家族が10世帯以上住んでいました。皆様方に大変良くしていただいて、いろいろな局面を乗り越えることができましたし、人脈もずいぶん広がったと思います。海外留学を検討されている方には、是非留学を勧めたいと思います。
写真はシンシナティに到着した際に空港で撮った初の月面着陸を成し遂げたアポロ11号のアームストロング船長をモデルとした宇宙服です。アームストロング船長はオハイオ州の出身のため、オハイオ州では英雄として扱われているようです。アームストロング船長は月面着陸の際、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩である。(That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind.)」と言われたそうですが、アメリカに降り立った際の記憶は同じような思いでした。アメリカに行く前はいろいろな障壁もあり、苦労もしましたが、一歩を踏み出す事が重要と思います。

言葉、文化、お金、家族の問題など色々と不安になる事はありましたし、実際に色々と苦労をしましたが、多くの方のご助力もあって留学をする事ができたと感じます。留学を支えてくださった、鳥取大学の皆様、シンシナティの皆様、関係者の方々にこの場をお借りして厚く御礼を申し上げたいと存じます。留学への準備、留学中の色々な事への対応は、私もお世話になった、シンシナティ大学の佐々木敦朗先生が書かれた「研究留学のススメ」という本が大変参考になると思います。
一部ホームページで参照できます。私も直接ご相談もできる事もあるかと思いますので、糖尿病学会の会員サイトの名簿に載っているメールアドレスまでご連絡いただけましたらと存じます。よろしくお願い申し上げます。
更新:2024年7月16日
※所属は掲載当時のものです