石川 万里子(Mariko Ishikawa)

所属
島根大学医学部附属病院
バタバタの育児(自)
泣き叫ぶ1歳児を抱きしめながら、これが本当の我慢なのだなぁと思いました。今まで我慢だと思っていたのは違っていたな、大人相手なら捨て台詞を言ったり嫌そうな顔をしたりで鬱憤晴らしになっていたけれど、この子には理屈が伝わらない…100%ぐっと飲みこまなくてはならないのだと。夜泣きやぐずりも経験しました。何が気に入らないの?私のせい?いつまで続くのだろう、イライラが伝わるように泣き声はヒートアップしました。小学校を休むようになり、休むのは私が休みの日…私が原因?と途方にくれました。平常心、平常心と唱えながらの修行でした。
仕事をしていると、子どもたちに十分なことがしてあげられないという罪悪感を生じやすく、振り返れば頑張り過ぎだったと思うこともあります。夜勤明けで少し寝た後自転車で幼稚園のお迎え。子どもと遊びながらうつらうつらしていたと思います。そんな私がずっと家にいたら、自分が思うように子どもたちに口を出し、手を貸し、つぶしていたかもしれません。言い訳かもしれませんが、仕事をしていることは良い距離を持つことにもなったかと思います。
3交代勤務だと、学校から帰ってくる時間に家にいる確率は高くなります。小中学校の参観日は100%出席できました。これは私自身の達成感にもつながりました。実は参観日出席のための休み希望は「日勤以外」と書けばよいので通りやすかったです。子どもたちや友達の様子を見られる機会ですし、一緒に授業も聞けて楽しかったです。夜勤しているからこそ昼間、平日に休みやすかったのではないでしょうか。クラスや地区の役員が2年ごとに回ってきました。学校活動に顔を出す家の子はいじめられないと聞いたこともあって、当たったら断らないようにしていました。ママ友もできますし、学校や地域のことを知る大事な窓口だったように思います。
仕事をしているから「できないこと」より、仕事をしていても、しているから「できること」がたくさんありました。

子どもたちは療養支援の先生
次男・三男の育休後に内分泌代謝内科の病棟に配属されました。最初は「指導」という言葉が好きでなかったのですが色々な出会いを通し糖尿病看護のとりこになりました。
患者さんや諸先輩、仲間に沢山教えていただいて今の私があります。また、子どもたちが私にとって療養支援の先生でした。頭がカチコチで答えが1つしか出せなかった私に沢山のことを教え体験させてくれました。
お母ちゃん、お部屋の本が新しくなった!(クラス文庫の入替え)と嬉しそうな長女。5歳児が本?と思いますが、ワクワクなのです。友達とケンカした、どっちも悪いけど相手がいいよと言うまで何度もごめんねと言って許してもらったという長男。なぜあなただけが謝るのかと思いましたが、「友達でいたいから」が理由でした。柱に登り鴨居をつかんで自慢する三男に対して、次男はスキップできると自慢する。それは全く違う事項でしょうと思うのですが、彼らにとってそれらは同列なのです。お母ちゃんの考えている私たちじゃないよ、みんな価値観が違うんだよ~と教えてくれました。
お菓子やおもちゃ、大人は同じものが人数分ないとケンカになると思いがちですが、そんなことはありません。パンが1個でもちゃんと分けてくれます。それは等分ではないこともしばしばでした。3個を4人で分けられるのです。相談してぐちゃぐちゃに分けることもありますし、1個×2人+0.5個×2人だったりします。自分の選択肢のなさにハッとさせられますし、今日はどんな分け方をするのだろうと楽しみになります。
子育て奮闘記とお題をいただきましたが、私は子供に育てられたなぁと思いますし、奮闘したのは子供たちだったのではないかと思います。
子どもは4人授かりました。長女2歳下の長男、3歳下の次男・三男(双子)です。神様が私は4人がかりじゃないと成長しないと思われ派遣されたのだと思います。感謝。

更新:2024年4月12日
※所属は掲載当時のものです