宮永 幸実(Yukimi Miyanaga)

所属
恩賜財団神奈川県済生会若草病院
職業
薬剤師
資格
日本糖尿病療養指導士取得:2006年
現在では病棟に薬剤師がいて、多職種で活動するのが当たり前となっています。
私が薬剤師になりたての頃は、薬剤師は調剤室から出ることは無く、たまに、小さなガラス越しの窓口で医師の処方箋に従って調剤したお薬を「お大事になさってください。」と一言お声がけしてお渡しすることが精一杯でした。
そんな時代から今では、薬剤師の職務も大きく変化し、病棟、外来、在宅と様々な場に出る様になりました。
私がCDEJを取得したのはそんな大きな変革最中の日本赤十字社東京都支部大森赤十字病院(前職)でした。今では考えられませんが、薬剤管理指導業務を開始した当時は、病棟へ薬の説明に伺うと、「余計なことするな。」と医師から叱られたこともありました。内科病棟担当当初は治療を理解し薬の説明をするのが手一杯で、画一的な服薬指導を淡々とこなす日々でした。
担当2年目のある日、眼瞼下垂で外来受診し、糖尿病と診断され入院された患者さんが毎日鏡をみて憂いている姿に、何か出来ないかと漢方薬を提案してみたり、不安な思いをひたすら聴いて一緒に悩んでみたりしました。なんでこんなややこしい病気になってしまったのか?と吐露される言葉と涙が心に残りました。そんな頃にCDEJという新しい資格が出来たと知り、実は、あまり考えずにCDEJになりました。そこから、糖尿病との付き合いがどんどん深まっていった様に思います。
外科、泌尿器科、糖尿病・内分泌内科、産婦人科、眼科を担当しながら、どの科にも糖尿病の患者さんがおられることに気がつきました。
病棟専任となり、毎週のカンファレンスにも参加する様になり糖尿病教室も受け持ちました。「糖尿病は全身の病気だから、隈なく全身を観れないといけないよ。そして、糖尿病は他の病気とは違って、教育が大切だからね。医療者は良き伴走者にならないといけないよ。」とカンファレンスの度に話されていた先生の言葉を思い出します。糖尿病は特別な病気ではないのかもしれない?とても身近なものに思えて来た。
育み良き伴走者となるには、私はどうすればいいのか?
糖尿病教室は糖尿病について学んでもらう場であるけれど、講義ばかりでいいのだろうか?
思い悩む日々に、糖尿病の患者さん役になる擬似体験をしました。そこで、どう頑張っても糖尿病の患者さんには成り切れない苦しさともどかしさを感じると同時に、様々な感情が渦巻くのを体感しました。このなんとも表現しようの無い感情の塊を、患者さんは日々抱えて生活しているのだと、ハッとしました。
そんな時、教室は患者さんが集まる場だから、ざっくばらんに、糖尿病のことを話題に出来たらいいのでは?気持ちを吐露出来る場があったらと教育入院の1コマを講義から対話形式に変えてみました。
年齢も生活背景も病状も違うけど、時に家族も参加して糖尿病を話題にする。そんな時間が見せてくれたのは、普段、医療者に見せる仮の姿とは違ったものでした。
もっともっと、素直に辛さや苦しさを話す場があったらいいのに、もっともっと、やってみて楽しくなって来たことを話す場があったらいいのに。
医療者がいくら話をしても耳に届かない言葉が、患者さん同士だとスーッと心に入っていく。私達が患者さんと出会うのは、人生のほんの短い一瞬です。その一瞬だけど何か共有できたら、意味ある時間になるかもしれない。
数年後に偶然街中で再会した患者さんは、笑顔で私に声をかけてくれました。
「時々、息抜きしながらだけど、なんとか付き合っているよ。優等生じゃ無いけどね。」
CDEJになったことで格段に世界が広がっていきました。一緒に悩んで、一緒に楽しむ勇気を与えてもらえたのだと思います。
素敵な出会いに感謝して、これからも共にあるという場を提供できる様に努力して行きたいです。
私が薬剤師になりたての頃は、薬剤師は調剤室から出ることは無く、たまに、小さなガラス越しの窓口で医師の処方箋に従って調剤したお薬を「お大事になさってください。」と一言お声がけしてお渡しすることが精一杯でした。
そんな時代から今では、薬剤師の職務も大きく変化し、病棟、外来、在宅と様々な場に出る様になりました。
私がCDEJを取得したのはそんな大きな変革最中の日本赤十字社東京都支部大森赤十字病院(前職)でした。今では考えられませんが、薬剤管理指導業務を開始した当時は、病棟へ薬の説明に伺うと、「余計なことするな。」と医師から叱られたこともありました。内科病棟担当当初は治療を理解し薬の説明をするのが手一杯で、画一的な服薬指導を淡々とこなす日々でした。
担当2年目のある日、眼瞼下垂で外来受診し、糖尿病と診断され入院された患者さんが毎日鏡をみて憂いている姿に、何か出来ないかと漢方薬を提案してみたり、不安な思いをひたすら聴いて一緒に悩んでみたりしました。なんでこんなややこしい病気になってしまったのか?と吐露される言葉と涙が心に残りました。そんな頃にCDEJという新しい資格が出来たと知り、実は、あまり考えずにCDEJになりました。そこから、糖尿病との付き合いがどんどん深まっていった様に思います。
外科、泌尿器科、糖尿病・内分泌内科、産婦人科、眼科を担当しながら、どの科にも糖尿病の患者さんがおられることに気がつきました。
病棟専任となり、毎週のカンファレンスにも参加する様になり糖尿病教室も受け持ちました。「糖尿病は全身の病気だから、隈なく全身を観れないといけないよ。そして、糖尿病は他の病気とは違って、教育が大切だからね。医療者は良き伴走者にならないといけないよ。」とカンファレンスの度に話されていた先生の言葉を思い出します。糖尿病は特別な病気ではないのかもしれない?とても身近なものに思えて来た。
育み良き伴走者となるには、私はどうすればいいのか?
糖尿病教室は糖尿病について学んでもらう場であるけれど、講義ばかりでいいのだろうか?
思い悩む日々に、糖尿病の患者さん役になる擬似体験をしました。そこで、どう頑張っても糖尿病の患者さんには成り切れない苦しさともどかしさを感じると同時に、様々な感情が渦巻くのを体感しました。このなんとも表現しようの無い感情の塊を、患者さんは日々抱えて生活しているのだと、ハッとしました。
そんな時、教室は患者さんが集まる場だから、ざっくばらんに、糖尿病のことを話題に出来たらいいのでは?気持ちを吐露出来る場があったらと教育入院の1コマを講義から対話形式に変えてみました。
年齢も生活背景も病状も違うけど、時に家族も参加して糖尿病を話題にする。そんな時間が見せてくれたのは、普段、医療者に見せる仮の姿とは違ったものでした。
もっともっと、素直に辛さや苦しさを話す場があったらいいのに、もっともっと、やってみて楽しくなって来たことを話す場があったらいいのに。
医療者がいくら話をしても耳に届かない言葉が、患者さん同士だとスーッと心に入っていく。私達が患者さんと出会うのは、人生のほんの短い一瞬です。その一瞬だけど何か共有できたら、意味ある時間になるかもしれない。
数年後に偶然街中で再会した患者さんは、笑顔で私に声をかけてくれました。
「時々、息抜きしながらだけど、なんとか付き合っているよ。優等生じゃ無いけどね。」
CDEJになったことで格段に世界が広がっていきました。一緒に悩んで、一緒に楽しむ勇気を与えてもらえたのだと思います。
素敵な出会いに感謝して、これからも共にあるという場を提供できる様に努力して行きたいです。
更新:2022年12月6日
※所属は掲載当時のものです