山本 雅昭(Masaaki Yamamoto)

所属
神戸大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌内科 特定助教/病棟医長
(兵庫医科大学 平成16年卒)
自己紹介
大学院を卒業後、アメリカでの5年間の研究生活を経て3年前に帰国した際に現職を拝命しました。元々内分泌領域の基礎研究に従事しておりましたが、帰国後は糖尿病と内分泌を分け隔てなくお付き合いするようになりました。現在、大学の病棟マネジメント業務と並行し、大学院生と共に基礎・臨床研究を行っております。家族は同学年で小児科医の妻1人と3人の息子(9歳-7歳-1歳)の5人で、それはそれは大変賑やかな日々を過ごしております。
家庭と仕事、そしてコロナ禍
留学中は、朝はお弁当作り、保育園や小学校の送り迎えや風呂・炊事・洗濯・片付けといった業務を全て妻と分担しながら行っていたため、平日の朝と夕方は超バタバタでした。
そういう状況にもかかわらず、いざ帰国してみると、病棟のカンファレンスが17時以降に始まることが普通だったので、「なにもよりによってこんな忙しい時間帯にカンファやらんでもええやん」と思って、全てのカンファレンスを勤務時間内に移動してもらいました(私のために?)。そもそも病棟を担当される先生方は20~30歳台の先生方が多く、自分も含めて様々なライフイベントを経験する世代が中心ですので、様々なライフステージの医師が当たり前に仕事を続けることができる環境を作れたらいいなと日々試行錯誤をしています。また社会的にも働き方改革の追い風が吹く中、新型コロナウイルスのパンデミックを機に医学界でも一気にリモート化が進み、その場にいなくてもカンファレンス、学会や研究会に参加できるようになりました。私にとっても、平日の夜家事の傍らカンファレンスや研究会に参加できるようになったことはコロナの想定外の副産物でありました(写真)。あらゆる側面において現地参加には抗しがたい魅力があることは当然ですが、子育てや介護など物理的移動が困難なライフステージにいる者にとって、現地参加というのはやはりハードルが高いものがあります。今後パンデミックが収束しても、リモート参加が現地参加に劣らないように技術が進歩してくれることを切に願っています。

留学と子供の食文化
我が家の息子3人(9、7、1歳)のうち、上の2人はアメリカで約5年も暮らしていたせいか、チーズピザやハンバーガー、マカロニチーズがソウルフードで、一面真っ青のクリームでコーティングされたケーキ(写真)を見て「美味しそう!」と言い放つ感性を持ちます。異文化の我が子を見ていると「三つ子の魂百まで」だとリアルに実感します。

一方で、アメリカでは食べ残すことが「もったいない」という教育を受けていないので、途中でも食べたくなければ普通に残します。「もったいない」文化の日本人としてはちょっと複雑である反面、成人後「もったいないから」という理由で無理に食べ過ぎて健康を損なう心配をしなくていいなら、それもいいかなと思ったりもします。
また、サプリメントの種類が豊富で、子供の健診でも足りない栄養素は必要に応じてサプリで補うように指導を受けます。基本的に自然の食材から栄養素を摂取する日本人には違和感もありますが、目的のためなら手段を選ばない合理性は見習うべきかもしれません。
ここまでアメリカ生活でのざっくりした食文化に言及してきましたが、実際にはアメリカにはアメリカ人だけでなく中国人やメキシコ人、ヨーロッパや中東の人など様々なルーツを持つ人々が暮らしているので、食文化も当然多彩で、基本的にはそれぞれ他人の嗜好や主義に干渉せず尊重するというのがマナーです。しかしそうした中でも、「Fruits & Veggies - More Matters」というスローガンを掲げたり、子供たちが通っていた学校ではチョコレートやキャンディ、ソーダが持参禁止であったり、「Too much sugar」はいけないと教えるなどの教育がありました。日本人が考える「バランスの取れた食事」の大切さを世界共通認識として持つことはなかなか難しいですが、我が家では、子供たちが将来どの国のどのような文化圏で暮らすとしても、日本の価値観のみにこだわらず、広く長期的な視点で自分なりの健康的な食習慣を身に着けられるよう我が家なりの食育をしていきたいと考えています。
更新:2022年3月31日
※所属は掲載当時のものです