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糖尿病教育関連・各種活動

高原 典子 先生

(たかはら のりこ)
― Follow your heart! ―
2018年 7月 掲載
所属:
赤穂市民病院 副診療部長、内科部長、透析センター長
自己紹介:
1989年
滋賀医科大学を卒業、と同時に同級生の外科医と結婚、第3内科へ入局。
2年目より大阪で研修(この時点で別居距離 50 km)。
1993年
大学院へ入学、内科認定医取得(別居距離 170 km)。
1996年
大学院修了、博士号取得し留学を希望したところ、柏木 厚典 先生のご厚意により Joslin 糖尿病センター G.L.King 博士の Vascular Biology section へ留学がかなう(別居距離 11,000 km)。
1999年
帰国、大学へ戻り、糖尿病専門医取得。
2001年
妊娠をきっかけに夫婦そろって赤穂市民病院へ。その年に長男を出産。総合内科専門医を取得。
2003年
長女を出産。
2004年より当院 内科診療科長 兼 透析室長。透析専門医を取得し、現在に至る。
高原 典子 先生

私のキャリア形成の中で、最も有意義であったことは間違いなくボストンへの留学である。世界中の研究者が集う街での研究生活は何物にも代えがたい財産となった。その頃に出会った先生方とは今なお、糖尿病学会と同時に行われる「ジョスリンを懐かしむ会」で交流を持つことができ、その繋がりによってこうして原稿を書かせていただいている。内科医にとっては、たとえ将来 臨床の道に進むとしても、一定期間基礎研究に触れることがとても大切であると思う。日進月歩の医学を現場の医療に生かすためには、病態に対する十分な理解と、それを的確に臨床にトランスレーションするスキルが必要となる。学生時代から研究の楽しさ、奥深さを教えていただいた 柏木 厚典 先生に心より感謝している。

もうひとつ私にとってラッキーだったことは、出産前に学位や専門医取得を終え、ある程度の臨床経験もあったため、育児をしながらもフルタイムでの仕事がこなせたことである。 出産後も常勤として専門医取得(更新)の要件を満たす勤務環境だったため、多忙ではあったがキャリアを積み重ねることができた。若いころに少し無理をして得た経験は必ず将来の貯金になる。当時、妊娠7カ月の女医を常勤で迎え入れてくださった 邉見 公雄 名誉院長先生に深く感謝している。

子育てではあらゆるリソースを活用した。院内託児所、幼稚園の延長保育はもちろん、育児ママ(おば)さん、NPO法人の預かり保育、自治体のファミリーサポートセンター、後輩ドクターや看護師さん、両親など、常に数種類のサポートを利用していた。夫はほとんどあてにならなかったが、私の仕事に対して批判も文句も言わなかったので、それが一番のエールだったのかもしれない。忙しいときは、なぜ自分はこんなに無理して働き続けているのだろうと思うことがなかったわけではない。が、あまりに忙しくてイライラしていたとき、ふと息子から「好きで働いてるんだろ」と言われた。そうだった。誰に指示されたわけでもなく、自分の心に従って、自分が勝手に働きたくて働いている。結局 自分のために働いているのだということに気づくと、あまり周りに腹が立たなくなった。

鈴木 佐和子 先生 : 大学院在籍中のラボメンバー
我が子二人がお世話になった病院併設の託児所前で女性医師たちとともに
(後列右が筆者)
人を育てる:

現在、私は地域中核急性期病院の内科診療科長として糖尿病、腎臓病、透析医療に従事している。当院は一地方の急性期中核病院であるが、初期研修医に人気があり毎年10数名が在籍している。2004年に新研修制度がスタートするまで、研修医教育は大学病院など一部の教育病院で行われていた。我々のような一般病院の勤務医が担うことは想定外であった。その頃の私は3歳と1歳の子供を抱え、産後2か月目から当直もこなすフルタイムであったため、思うように研修医と向き合う時間が作れなかった。「なぜ私が、診療業務以外に研修医教育まで・・」という思いも少なからず感じていた。しかし、初めこそ高齢糖尿病患者の治療に苦慮し、患者家族やコメディカルとのコミュニケーションにとまどう研修医たちがそれぞれに課題をクリアし、医師としての社会的責務を自覚するようになっていく。ほんの数年間にみられる彼らの人間的な成長を目の当たりにし、子供の成長とも重なり、日々心を打たれる。

「医療は患者のためにある」ということを真に理解することはさほど容易ではない。当院では、研修医が患者一人について診断・治療し、必要に応じて在宅診療、看取りまでを学ぶことができる。医学という学問の追求とは違い、医療はその土地で暮らす人々の健康や生活を守る繊細な仕事である。こうした医療の本質を学ぶ場として、地方の総合病院の果たせる役割は非常に大きいと感じている。

我が子の子育てが一段落しようとしている今、研修医たちにとっては甚だ迷惑な話であろうが、若き医師育てを大いに楽しませてもらっている。

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