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大倉 毅 先生

大倉 毅 先生

(おおくら つよし)
キラリ☆女性医師!特別版―イクボス・イクメンからのひとこと
2017年11月 掲載
 
大倉 毅 先生
ジョスリン糖尿病センター
エリオット・ジョスリン先生の肖像画前にて
所属:
鳥取大学医学部附属病院 学部内講師
(鳥取大学医学部 平成12年卒業)
自己紹介:

鳥取大学医学部附属病院で糖尿病の専門医、指導医として働いています。内分泌代謝、内科の専門医、指導医でもあります。妻も糖尿病、内分泌、内科の専門医で、現在は開業していますが、週に一回は大学で外来をしています。11歳の小学生の娘がいます。

当院の内分泌代謝内科は非常勤含め14人ほどの科ですが、糖尿病グループ10人の内、6名が女性医師です。2017年度は二人産休に入っています。

ワークライフバランスについて:

鳥取大学では大学の保育所があり、私達の子供も大学の保育所に小学校入学まで通いました。当時の教授と相談の上、妻は産後9ヶ月後に週2回の外来から復帰にして頂きました。保育所時代は夫婦ともに大学勤務で、病院の敷地内に保育所があり、20時まで預かってくれましたので、比較的恵まれた環境ではあったと思います。しかし、病児保育はしておらず、近隣の病児保育施設に行くためには朝の通勤時間帯だと30分程度かかっていました。診察、手続きを終えて、病院に戻るには10時は過ぎてしまうため、不測の事態に備えて夫婦で予め外来日、出張日をずらすなど工夫をしていました。妻の両親は市内に住んでいますが、仕事をしているためにいつもは手助けを借りられず、流行性角結膜炎で2週間休みになった時には岡山の私の母親に泊りがけで見てもらったこともありました。妻の患者が貧血で緊急入院となり、夜に輸血が必要になった際には私が輸血終了までついて診るなど、夫婦で同一科の利点を感じたこともありました。このような中で夫婦とも糖尿病の専門医を取ることができました。

育児での一番の問題点は病児保育だと感じましたが、来年度には当院にも病児保育の施設ができる予定です。鳥取大学はワークライフバランスで全国的にも先進的な取り組みを行っており、比較的恵まれた環境かと思います。これまで理解のある上司にも恵まれ、病院の上層部が働きやすい環境づくりを考えていただいていることはありがたい事だと思います。しかし、なかなかこのような環境にある若い医師は多くはないと思います。私達も周りに夫婦で病院勤務医をしているものはあまり多くなく、なかなか相談もできず、試行錯誤で対応してきたと思います。このノウハウを下の世代に伝えていけたらと思っています。今年度は大学院生が大学院期間中に結婚、出産、論文掲載を行うことができました。専門医、学位、家庭のいずれも達成できる医局づくりを目指したいと思っています。これから糖尿病を専攻する若い先生方には上司とよく相談してキャリアアップする事をお勧めします。

糖尿病を専攻した理由:

私は元々内分泌代謝学の論理的なところに興味を持って専攻しました。4年目に当科の第2代教授であった 平田 幸正 先生の開かれた東京女子医科大学糖尿病センターに1年間国内留学させて頂き、食事負荷試験を用いたインスリン分泌能評価など、その論理的な糖尿病治療に感銘を受けました。また、女子医大ならではの班体制による診療など、ワークライフバランスの勉強にもなりました。2016年にはジョスリン糖尿病センターにて外来教育プログラムの研修をさせて頂き、ジョスリン先生の「教育こそ糖尿病の最高の治療」という理念に感銘を受けました。糖尿病は患者数が多く、社会的需要が大きいのはもちろんですが、生活習慣やインスリンの分泌能、抵抗性など病態をよく考えて治療、教育するのは大変面白い分野だと思います。そこから研究のアイディアも色々と出てきます。食事負荷試験によるインスリン分泌能評価、グルコースクランプ試験によるインスリン抵抗性評価でいくつか論文を出せるようになってきましたが、この面白さを後輩に伝えていけたらと考えています。

糖尿病学会はこのような企画で女性医師支援の進んだ学会だと思います。学会員に女性医師が多いのが特徴かと思いますが、学生の半分は女性の時代です。女性医師と男性医師がどのように協力して仕事をしていけるか、男女共同参画は21世紀の医療の命題でもあると思っています。このような機会を与えていただいて大変感謝しております。一人でも多くの糖尿病を志す医師を増やす事ができれば幸いです。

更新:2017年12月4日