The Japan Diabetes Society

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米本 崇子 先生

米本 崇子 先生

(よねもと たかこ)
― Bloom where God has planted you.  ―
    ~ 置かれた場所で咲きましょう ~
2017年4月 掲載
所属:
静岡県立総合病院 糖尿病内分泌代謝/遺伝診療科
家族構成:
会社員の夫、4歳の娘
村上 雅子 先生
夫、娘と 3 人で、ちゃっぴーと
1日のスケジュール:

平日
6 時起床(お弁当の日は 5 時)、朝食後、主人を送り出し、娘を幼稚園バスに乗せ 8 時半出勤。 9 時から 16 時過ぎまで外来(週 3 回)あるいは病棟業務、研修医の指導。 17 時からカンファレンス。 18 時半過ぎ、園バスで娘帰宅。 19 時夕食、 20 時から宿題やピアノの練習、 21 時入浴後、娘就寝。前後して主人帰宅。夕食、洗濯、翌日準備で 23 時半ごろバタンキュー。

土日
月 2 回、病棟&救急オンコール当番。娘は日中は保育園、夜は主人に。学会、講習会参加も平日は難しく、週末に参加(土日いつもいないねえ、と夫にチクリと言われたことも・・・)。

糖尿病を専攻した理由:

研修医 1 年目、最初の担当患者さんが、 1 型糖尿病(病歴 25 年)の 30 代女性。末期腎不全で透析導入目前、網膜症や白内障手術歴多数、とても素直な可愛らしい方で、医者の言うとおりに過ごしてきて、それでも合併症がこんなに進んでしまった、ということにショックを受け、どうすれば良かったのだろう、と疑問に思ったのがきっかけです。

また、京都大学で「内分泌疾患の一つとしての糖尿病」という概念を叩き込まれ、学問として非常に興味を持ちました。

キャリア:

● 学生時代: 中高一貫の女子校出身、女性だから出来ないことなど何も無いと信じていました。テレビでみた救急医療に憧れて日本医科大学に入学。入学式で当時の救命救急センター長に『将来救急をやりたいです。』と伝えたところ『女はいらん』と即拒否。学部 5 年の心臓血管外科実習では『女子は適当に見たら帰ってよし』と相手にされず。『女は男の 3 倍勉強してやっとトントン』と部活の先輩(女性)には言われモヤモヤ、そんな時代でした。

● 研修医: 卒業と同時に京都大学内分泌代謝内科(現 糖尿病・内分泌・栄養内科)に入局。当時は出身大学での研修が多く、あえて京大で頑張ろうという同期メンバー(私学、女子も複数)はヤル気ギラギラ、切磋琢磨の環境。その後、関連病院で 3 年間研修。

● 大学院: 卒後 5 年目に入学。 益崎 裕章 先生(現 琉球大学 第二内科教授)、 中尾 一和 前教授 のご指導の下、メタボリックシンドロームの研究で学位を取得。論理的思考、論文の書き方、医学研究者としての生き方を一からご指導いただきました。海外の学会でも発表の機会をいただき、女性医学研究者の輝いている姿を目の当たりに。

● ~現在: 卒後 10 年から現在( 18 年)まで現在の職場で常勤。総合内科専門医・認定医、糖尿病学会専門医・指導医、内分泌学会専門医・指導医・評議員、臨床遺伝専門医の資格をとりました。あといくつかの専門医も狙っていますが、現状維持も大変・・・。

● 遺伝専門医兼業: 病院内に遺伝専門医が必要である、誰か受験するように、とのお達しが上層部からあり、暫定試験期間であれば自分も受験資格があるとのこと、じゃあ受けてみようかな、と気軽に受験したところ院内で唯一の合格者となってしまい、診療科を立ち上げました。

● 糖尿病診療: CDE-J 資格を持つ検査技師、栄養士とともにインスリンポンプ、SAP、カーボカウント指導を頑張っています。コメディカルでここまでできるスタッフはそういない!というところまでスキルアップし、頼もしいチームになりました。

● +αの仕事: 1 型糖尿病患者会『 いちふじ会 』を運営しています。当初は院内限定、現在は静岡県中部地域に対象拡大。また、数年前から『静岡つぼみの会』サマーキャンプにボランティアスタッフとして参加しています。患者さんから教えられることばかりで、しかも楽しく、糖尿病医になって良かったなー、と思う瞬間です

● プライベート: 学位の目処がついてからの晩婚、 37 歳で長女を出産。出産数日後から病室や自宅で後輩の学会ポスター指導をしたり、実験や病棟診療について電話でやりとりをしたり、メールや郵送で情報を届けてもらったり、仕事を休むことに対する不安が強かったです。子供の入院で予定より長く休み、産後 8 ヶ月で復帰。院内保育所にあずけ、 3 歳からは幼稚園にも通わせています(二重保育)。両親が遠方で頼れず、職場(当科は子育て中の女性医師が 4 人います)と旦那さんに助けてもらい日々過ごしています。

● ステップアップのために: 2016 年春にはデンマーク(コペンハーゲン)のステノ糖尿病センター主催のシンポジウムに参加、秋には台湾(台北)の国際糖尿病連合西太平洋地区会議/アジア糖尿病学会で口演発表、娘は主人に託して勉強させていただきました。さまざまな国からの参加者が集い、女性も非常に積極的でしかも楽しそうに自分の仕事について語り、文化の違いを肌で感じました。日本からの参加者も年齢さまざま、部署もいろいろ、帰国後には自分も仕事にもっと邁進しなければ!とパワーをたくさんいただきました。今年も何度か海外遠征予定です。

メッセージ:

先輩たちのご尽力のお蔭で、女性医師の地位はだいぶ「守られて」いると感じます。

でも下図の青い時代は、あっという間に過ぎます。赤い時代に自分がどんな役割を果たしたいか、子育てで時間が限られる中、濃密な時間を過ごし、これからもワクワクしながらもっともっとレベルアップしていきたいと思います。

米本 崇子 先生
最後に:
渡辺 和子 さんの記された『 置かれた場所で咲きなさい 』(Bloom where God has planted you.)という本をご紹介します。
結婚しても、就職しても、子育てをしても、「こんなはずじゃなかった」と思うことが、次から次に出てきます。 どうしても咲けない時もあります。雨風が強い時、日照り続きで咲けない日、そんな時には無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために。
渡辺 和子 『 置かれた場所で咲きなさい 』 (幻冬舎、2012)
一緒に頑張りましょう♪
渡辺 和子 『 置かれた場所で咲きなさい 』(幻冬舎、2012)

更新:2017年4月3日