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中西 尚子 (なかにし なおこ)先生

中西 尚子 (なかにし なおこ)先生

― どんな環境でも前進! ―
2021年 2月 掲載
所属:

京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌代謝内科学

自己紹介:

◆ 2002‐2009年:
2002年に京都府立医科大学卒業後、2年間の研修を経て関連病院にて、一般内科、血液内科、内分泌糖尿病内科医として勤務

◆ 2009‐2013年:
京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌代謝内科学 大学院
糖尿病専門医取得

◆ 2014‐2018年:
米国サンディエゴ滞在(2016-2018年:Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute: Research Assistant)

◆ 2019年‐ 現在 :
京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌代謝内科学 病院助教

家族構成:

夫と長男(9歳)・長女(7歳)・次女(4歳)の五人家族

これまでの道のり:

研修医のころから慢性疾患をもつ患者さんに長く寄り添いたいという思いがあり、内分泌疾患や糖尿病診療に興味をもっておりました。大学病院・関連病院での勤務を経て、糖尿病を専門とすることに決め、内分泌代謝内科専攻の大学院に進みました。大学院では主に臨床研究に携わり、自分たちでEvidenceを作り出すこととそれを臨床に還元できるという喜びを知りました。

大学院を卒業後、2014年に夫の研究留学に伴って家族で米国サンディエゴへ引っ越すという転機がありました。渡米後最初の2年間はUniversity of California San Diego (UCSD) のインターナショナルセンターで私たちのような留学中の家庭の小さな子供向けの英語の歌や絵本を読んだりするボランティアなどをして過ごしました。異国での子育てや第3子の出産は冒険のような毎日でしたが、日本を離れ何年か経ち、医者という職業を離れて久しいという不安が常に頭の片隅にありました。

とにかく“働きたい”という思いが募り、夫が所属していたSanford Burnham Prebys Medical Discovery Instituteの研究室でResearch Assistantとして雇ってもらうこととなりました。基礎医学についてはそれまで自分にとって遠い世界でしたが、一方心のどこかで“私も基礎研究を知りたい”と思っていたので、とても嬉しいチャンスだったのです。それからは毎日毎日、何枚も重なった大量のフラスコで細胞培養を行い、タンパク・RNAの抽出をして1日中何回もウエスタン・ブロッティングやqRT-PCRなどのアッセイをしました。実験素人だった私にとって決して容易なことではありませんでしたが、「負けないぞ!」という気持ちで必死に食らいついていく日々でした。多国籍ラボでミーティングは当然英語でした。最初はなかなか内容が理解できませんでしたが、連日言葉を超えた熱いディスカッションが繰り広げられ、大変勉強になりました。“やる気がある人を歓迎する”という姿勢で私をチームの一員として受け入れてくれたMOSCAT & DIAZ-MECO研究室 (2019年にサンディエゴからニューヨークのWeill Cornell Medicineに移転)には大変感謝しています。

中西尚子先生
MOSCAT & DIAZ-MECO 研究室にて(2016年)
:ボスたちと共に(左端より著者と夫)

帰国が決まってからは、約5年ぶりの臨床復帰や子供の学校の再出発など必死の毎日でした。そして、今は週2‐3回の糖尿病外来診療と、研究室ではガスクロマトグラフィー質量分析計の手法も取り入れながら、マウスや細胞を用いた糖脂質代謝に関する実験を続けており、留学先で得た経験につながる仕事ができています。

現在感じていること:

私の日々の生活は家事手伝いのサービスにもお世話になり、子供が風邪をひいたときなどには夫の両親と実家の両親に頼っています。そして、家庭のことを完璧にこなせてはいない私に対し「お仕事がんばってー」と応援してくれる子供たちの笑顔と、夫のサポートがあるから仕事を続けられています。研究や臨床で、たとえ小さなことでも得られる達成が働ける喜びです。多様な働き方を受け入れ、個々の力を最大限に引き出してくださる教授をはじめ上司の先生方、その道筋を作っていただいた先輩医師、思いやりのある同僚の先生たちには心から感謝しております。

メッセージ:

どんな環境でも、自分にとって意義のあることや向上できることを見つけて、少しずつでも積み上げて前へ進もう。皆が誇りをもって仕事をし続けられる社会を作ろう。

中西尚子先生
内分泌代謝内科学研究室にて(2021年)
:パワフルな女性大学院生たちと(1番右が著者)

更新:2021年2月19日